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ECB、初の0.75%利上げを決定 インフレ抑制優先

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【フランクフルト=南毅郎】欧州中央銀行(ECB)は8日の理事会で、政策金利を0.75%引き上げると決めた。0.75%の上げ幅はユーロが誕生した1999年以降で初めて。欧州ではウクライナ危機に伴う資源高で、インフレ率が年内に10%程度まで高まる可能性も出てきた。ECBは通常(0.25%)の3倍となる大幅利上げにより、景気後退リスクを覚悟のうえで高インフレを抑制する。

主要政策金利をプラス0.5%からプラス1.25%、銀行が中央銀行に預ける際の金利(中銀預金金利)を0%からプラス0.75%に引き上げることを全会一致で決めた。新たな政策金利は14日から適用する。政策金利の水準は欧州債務問題が深刻になった2011年以来の高さまで戻ることになる。

前回7月の理事会では11年ぶりに利上げを決め、マイナス金利政策の解除に踏み切った。想定外のインフレに対処するため、今回は利上げ幅を前回の0.5%から拡大する必要があると判断した。ラガルド総裁は記者会見で「インフレ率が高すぎるため、今後さらに利上げを続けるつもりだ」と述べた。

世界では主要中銀が相次ぎ大幅利上げに動いている。今月は米連邦準備理事会(FRB)が3会合連続となる0.75%の利上げに踏み切る可能性があり、スウェーデンも同様の利上げ観測が浮上する。カナダは7日に0.75%の利上げを発表した。インフレ抑制が遅れていたECBも連続利上げで足並みをそろえた。

欧州ではインフレの加速が止まらない。8月のユーロ圏の消費者物価指数は伸び率が前年同月比で9.1%と4カ月連続で過去最高となった。ロシアからの供給不安で天然ガスの価格が最高値を更新。今秋にかけて光熱費が跳ね上がる恐れがあるほか、食料品やサービスが値上がりするなどインフレの裾野も広がっている。

当面、ECBは景気より物価の安定を優先させる構えだ。ラガルド総裁はインフレ率が中期的に2%に戻るまで必要な限り利上げを続けると表明している。中銀の信認を確保するためにも、低所得層に影響が大きいインフレの阻止が必要になる。

今回の理事会では、ユーロ圏の新しい経済・物価見通しも示した。インフレ率は22年に8.1%、23年は5.5%と上方修正した。24年に2.3%まで鈍化する想定だ。一方、成長率は22年が3.1%としつつも、23年には0.9%まで低下する見通し。大幅な利上げは景気を過度に冷やす恐れもあり、インフレと景気後退が同時に進む「スタグフレーション」への懸念が強まっている。

外国為替市場では1ユーロの価値が1ドルに並ぶ「パリティ(等価)」を下回り、20年ぶりの安値を更新した。急激なユーロ安は輸入物価の上昇を通じてインフレ圧力を高めるため、ECBも警戒を強めている。市場はユーロ圏の景気後退を織り込みつつあり、利上げ継続への懐疑論が強まればユーロ安に拍車がかかりそうだ。

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