トルコ・シリア地震、死者1万人超に 迫る「72時間」
【イスタンブール=木寺もも子】6日にトルコ南部で起きた地震での死者は、トルコとシリアで計1万1000人を超えた。なお多くの人ががれきの下に残っているとみられる。生存率が急激に下がるとされる発生後72時間が迫るが、被害が広範囲に及んでいるうえ、余震の発生やインフラの損傷で救助は難航している。
トルコ当局によると、8日午後時点で8574人の死亡が確認された。シリア国営メディアは1262人が死亡したとしている。民間団体によると、北西部の反体制派支配地域では少なくとも1280人が死亡した。地震は6日午前4時17分(日本時間同10時17分)ごろに発生したが、依然として被害の全容はみえない。
トルコでは、これまで諸外国からの応援を含め、約10万人が捜索や救助のため動員され、8000人以上が救助された。ただ、8日までに600回を超える余震が起きる中、トルコだけでも10県に及ぶ広範囲の救援は思うように進んでいない。
被災地では救助の遅れへの不満も出ているもようだ。AFP通信は7日、「暴動になり、警察が介入しなければいけない事態になった」とする南東部の中心都市ガジアンテプ住民の声を伝えた。
ロイター通信によると、世界保健機関(WHO)高官は7日、トルコとシリア両国で計2300万人が被災したとの推計を明らかにした。米CNNはトルコ南東部に拠点を置く支援団体の話として、「政府が秩序だった救援を展開するトルコと比べ、シリアは非政府組織(NGO)主導で状況はさらに厳しい」とも伝えた。
国連のドゥジャリク事務総長報道官は7日、シリア北西部の反体制派地域に支援を送るためのトルコ・シリア国境門につながる道路が損傷したため、越境できない状態だと明らかにした。別の地点から反体制派地域に入るためにはアサド政権との新たな合意が必要な可能性がある。
トルコのイスタンブール証券取引所は8日、相場急落を受けて株式、先物、オプションの取引を停止すると発表した。再開時期は明らかにしていない。
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