ロシアの一方的「停戦」不発、互いに相手の攻撃を批判

【カイロ=久門武史】ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が一方的に宣言した36時間の停戦の期間が8日午前0時(日本時間同6時)に終了した。期間中も双方が相手から攻撃があったと主張し、合意による一時停戦は実現しなかった。停戦が不発に終わり、戦闘が激化する可能性がある。
ロシア国防省は8日、ウクライナ東部のクラマトルスクで「報復攻撃」を実施し、ウクライナ兵600人以上を殺害したと発表した。ウクライナ東部ドネツク州マケエフカで昨年末にロシア兵89人が死亡したことへの報復としている。AFP通信が伝えた。
ウクライナ軍参謀本部は7日、ドネツク州の激戦地バフムト周辺の15カ所以上がロシア軍の砲撃を受けたと発表した。南部ヘルソン州では17カ所で民間インフラが砲撃で損傷したとした。一方で、ウクライナ軍がロシア軍側の21カ所を攻撃したことも明らかにした。
ロシア国防省は7日、東部ハリコフ州やドネツク州でウクライナ軍から攻撃を受けたため反撃したと発表した。それぞれウクライナ兵20人以上を殺害したと主張した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は7日のビデオメッセージで「モスクワの言葉がいかに偽りか世界は改めて目撃した」と非難した。「彼らは停戦を主張したが、現実にはロシアの砲弾がまたバフムトなどを襲った」と指摘した。
プーチン氏は5日、ロシア正教のクリスマス(7日)に合わせて6日正午から36時間の一方的停戦を表明した。ロシア正教会最高位のキリル総主教の呼び掛けを受けた形をとったが、ウクライナはロシアの時間稼ぎとみて拒否していた。
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