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先進国物価22年に8.5%上昇 OECD予測、従来の倍に

(更新)

経済協力開発機構(OECD)は8日、加盟38カ国の個人消費の物価上昇率が2022年、従来予想(21年12月時点)より4.3ポイント高い8.5%となるとの予想を発表した。ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーや穀物の値上げなどが背景にあり、世界経済の減速要因となる。経済成長率は22年に3.0%、23年に2.8%と予想し、21年12月時点の数値よりそれぞれ1.5、0.4ポイント下方修正した。

報告書でOECDは「戦争勃発前は経済成長が戻りインフレが正常化するなど(マクロ経済は)良好に推移すると思われていた。ウクライナ侵攻と中国のゼロ・コロナ政策による都市・港湾の閉鎖は新たな逆風をもたらした」ことを成長率の下方修正の主な理由とした。23年のインフレ率も従来より3.0ポイント高い6.0%になると分析した。

インフレが進む背景として、新型コロナウイルス禍からの需要回復に加え、ロシアとウクライナが主要生産国である穀物、金属、エネルギーなどの供給が乱れたことを挙げた。両国合わせて世界の輸出量の3割を占める小麦は侵攻前と比べ約60%値上がりした。ロシアで多く採れる希少金属パラジウムも10%超高くなった。

懸念されるのが、新興国を中心に農産品や肥料が不足する事態だ。OECDによると、例えばマダガスカルやチュニジアはトウモロコシ輸入の半分以上をウクライナに頼るほか、モンゴルやアゼルバイジャンは肥料輸入のほとんどをロシアに依存する。

ロシアはウクライナによる黒海経由の穀物輸出を妨害しており、ウクライナ政府は今秋までに最大7500万トンの穀物がウクライナ国内に滞留する恐れがあるとみている。穀物市場は今後さらに逼迫する恐れがあり、OECDは「経済危機だけでなく、貧困や飢えによる人道的な悲劇が起こる危険がある」と警鐘を鳴らした。

ウクライナ侵攻の経済に与える影響は「不確実性が高い」とし、ロシアから欧州へのガス供給の停止、商品価格のさらなる上昇、サプライチェーン(供給網)の混乱をリスクシナリオとして示した。欧州へのガス供給が完全に停止した場合、23年の欧州の経済成長率は1ポイント以上押し下げられ、インフレ率も1ポイント以上上昇すると試算した。

金融政策では各国の実情に応じ、異なる対応が必要だと指摘した。新型コロナ禍からの回復が進み、インフレ圧力が明確な米国やカナダなどは早期の正常化を求めた。

他方、食料・エネルギーを除いたインフレ率が低く、賃金上昇圧力が緩やかで、ウクライナ侵攻の影響を強く受ける国々では、緩やかな緩和解除が適切だとの考えを示した。

財政政策については、短期的にはインフレに弱い家計への支援などは必要としつつも、中長期的には再生可能エネルギーへの投資加速や国防費の増加など、財政構造の見直しが必要だと強調した。

日本の成長予測は22年に1.7%、23年に1.8%と予想した。21年12月時点ではそれぞれ3.4%、1.1%としていた。変異型「オミクロン型」の感染拡大やウクライナ危機を理由に22年を下方修正した。

世界経済を巡っては国際機関が相次ぎ厳しい見通しを示す。世界銀行は7日公表の経済見通しで、22年の世界経済の実質成長率を2.9%とし、前回1月時点から1.2ポイント下方修正した。

特に新興途上国のリスクに焦点を当てており、今後1970年代にみられたような物価高と景気後退が併存する「スタグフレーション」に陥るリスクがあると懸念した。先進国の金利引き上げが新興途上国で資金調達の難しさを生むと警戒した。

国際通貨基金(IMF)も4月の経済見通しで成長率を大きく引き下げている。

(パリ=白石透冴、マクロ経済エディター、松尾洋平)

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