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シリア、地震でアラブ首脳から電話続々 脱「孤立」映す

(更新)

【カイロ=久門武史】トルコ南部で起こった6日の大地震で被害が出たシリアのアサド大統領に、アラブ諸国の首脳から弔意と支援の用意を伝える電話が相次いでいる。シリアは2011年にアラブ連盟への参加資格が停止され孤立していたが、復帰と関係修復を探るアラブ世界の動きを映している。

6日にアラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領、バーレーンのハマド国王がアサド氏に電話で地震の犠牲者に弔意を伝え支援を申し出た。オマーンのハイサム国王も7日に続いた。同日にはエジプトのシシ大統領が14年の就任後初めて公にアサド氏と電話し、シリアとの連帯を強調した。

シリアは11年の民主化運動「アラブの春」で内戦に陥り、アサド政権が反体制派を武力で弾圧したとしてアラブ連盟が同年11月に加盟資格を停止した。以来、アサド氏は22年のUAE訪問まで他のアラブの国を訪れることはなく、公にアラブ諸国の高官と言葉を交わすのもまれだった。今回の首脳電話協議は各国の国営メディアが報じた。

アラブ諸国にとってシリアの安定は、テロの温床になるのを防いで中東の安全保障に寄与し、内戦によるシリア難民の帰還を促す効果が見込める。アサド政権に肩入れしてきたイランが影響力をさらに増すのを阻止する思惑も透ける。

シリアとの接近はUAEやエジプト、ヨルダンが先行しているが、アラブ世界でも温度差はある。盟主を自任するサウジアラビアは、外務省が地震被害を受けたシリアへの連帯を示す声明を6日に出したものの、首脳級がアサド氏に電話したとの情報はない。

サウジはシリア内戦で反体制派を支援し、親イランのアサド氏の退陣を訴えた経緯がある。過激派組織「イスラム国」(IS)が14年にシリアで台頭しアサド政権は一時は劣勢だったが、後ろ盾のロシアが15年に軍事介入したことで息を吹き返した。

今回の地震による死者は7日までにトルコで5400人以上、シリアでは1800人以上と伝えられた。UAEはシリアに5千万ディルハム(約18億円)相当の人道支援を送る方針。カタールも、移動式住宅1万戸をシリアやトルコに送ると発表した。

シリアと国交のない隣国イスラエルも、ネタニヤフ首相が「要請を受けた」として支援を表明した。シリアのアサド政権側は要請した事実はないと否定している。

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