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英EU、漁獲量で大筋合意 関係者の不満くすぶる

【ロンドン=佐竹実】英国と欧州連合(EU)が周辺海域での漁獲量について大筋合意した。英国のEU離脱に伴って互いの漁業に関する取り決めが変わり、英国とEU加盟国のフランス間で対立が先鋭化していた。ただ双方の漁業関係者には不満がくすぶっており、対立が再燃するおそれがある。

英EUがこのほど大筋合意したのは、2021年の割り当て漁獲量。英紙テレグラフによると、英とEUが漁業をする海域に生息する約70種類の魚類が対象になる。詳細は近く公表される見通しだ。

英国とフランス間では5月、漁業権を巡る対立で緊張が高まった。英王室属領のジャージー島の自治政府が外国漁船に対し、過去の操業歴を遡って証明するよう求めた。これに仏側が反発し、50隻を超える漁船が島周辺で抗議活動を展開し、英仏が警備のためとして互いに軍の艦艇を現場に派遣する事態に発展した。

今回の漁獲量の大筋合意によって不透明感が一部取り除かれた形だが、根本的な解決とはいえない。

20年1月にEUを離脱した英国は、自由貿易協定(FTA)を含めた将来関係で合意することをめざし、EUとギリギリの交渉を実施した。その中で最後まで互いが折り合わず、議論がもつれる原因となったのが漁業権だった。

英国がEUの一部だったころは、EUの漁船も英国の海域で漁ができた。だが、英国がEUメンバーでなくなることで、同じようには漁ができなくなる。英国は交渉の中で、EUの漁獲量を金額ベースで80%減らすことを求めた。EUの強い反発を受けて英国側が譲歩し、漁獲量の25%削減で大枠が固まったが、詳細は毎年交渉することになった。

EU側の漁業関係者は、これまで通りの漁獲量を確保できないとして不満が根強い。英国側の漁業関係者も満足していない。20年12月の貿易・協力協定により英EU間の関税ゼロは維持されたが、通関手続きが復活したためだ。EUに輸出する魚介類は商品名や重量などを申告した上で、獣医の安全検査が必要になる。コストと時間がかかり、スコットランドの水産業者は価格が大幅に下がったなどとして政府に抗議している。

英国の漁業関係者は与党・保守党を支持してきたが、EU離脱の果実が得られなければ不満が噴出して政権を揺さぶりかねない。フランスをはじめ、EU側も同様だ。

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