ロシア財政一段と悪化 ウクライナ侵攻の戦費などで1月支出6割増  - 日本経済新聞
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ロシア財政一段と悪化、支出6割増 戦費や原油価格下落

ロシアの財政が一段と悪化している。2023年1月の財政収支は1兆7600億ルーブル(約3.3兆円)の赤字となった。赤字額は歳入を上回る。原油相場の下落で石油収入が減少し、欧米諸国からの経済制裁の影響が顕在化した。長期化するウクライナ侵攻に伴う戦費拡大をまかないきれなくなっている。

ロシア財務省が6日発表した1月のロシアの歳入は前年同月比35%減の1兆3560億ルーブルだった。石油・ガス収入が46%減の4260億ルーブルと大きく減少したことが響いた。同省は原油価格の低下と天然ガスの輸出減が影響したと説明した。

主要7カ国(G7)や欧州連合(EU)は22年12月5日、ロシア産原油の取引価格に上限を設ける制裁を発動した。上限を1バレル60ドルとし、この価格を超えて取引する場合には、海上輸送に欠かせない保険契約ができないようにした。

ロシア産原油の指標であるウラル原油は足元で上限価格に届いておらず、1月の平均価格は50ドルを下回った。G7やEU諸国でロシア産石油の輸入停止が進んでおり、米国や英国に続いてドイツもパイプライン経由での輸入を停止した。

ロシアは中国などへの輸出先の移管を進めている。新興国向けに指標価格から割り引いて輸出する動きもあり、石油収入の減少に影響したもようだ。

1月の歳出は3.1兆ルーブルと同59%急増した。ロシア財務省は詳細を公表していないが、ウクライナ侵攻に伴う戦費拡大が主因とみられる。

財政赤字は22年12月から2カ月連続。1月単月の赤字額は、23年通年でロシアが予想する赤字額の6割に達した。アナリストからは、ロシアは23年後半に財政収支の改善を見込むものの、通年の赤字額が政府想定を上回るとの見方が出ている。

シルアノフ財務相は1月、22年暦年の財政収支が約3.3兆ルーブルの赤字だったと述べた。原油価格の下落と欧米の経済制裁の効果によって財政悪化が加速し、長期化するウクライナ侵攻の戦費を捻出することが難しくなってきている。

ロシアの国家財政は原油価格が堅調だった18〜19年に黒字を確保するなど比較的安定していた。ロシア財務省は6日、政府予算とは別に、石油・ガス部門の余剰利益を積み立てた福祉基金の残高が約1550億ドル(約20兆円)あると発表した。

為替市場では通貨ルーブルの相場が7日に1ドル=71ルーブル前後と、同75〜80ルーブルで推移していた22年2月のウクライナ侵攻前の水準に近づいている。

G7などは5日、軽油などロシア産の石油製品の輸入価格にも上限を設ける制裁を発動した。原油価格が上がっても欧米の価格上限の影響でロシアが従来通りの利益を得ることは難しく、国債発行や福祉基金の取り崩しなどで財政がさらに厳しくなる可能性がある。

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