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ヘンリー王子の相次ぐ「暴露」、王室悩ます 自伝発売

【ロンドン=佐竹実】チャールズ英国王の次男ヘンリー王子が、王室に関する「暴露」を続け波紋を呼んでいる。10日に発売された自伝「スペア」では、兄のウィリアム皇太子から暴力を受けたことなどを明かした。敬愛されたエリザベス女王亡きあと、国民の支持をどう保つかが王室の喫緊の課題だ。5月に戴冠式を控える国王にとって、ヘンリー王子の王室批判は悩みの種になっている。

自伝のタイトルは「スペア」で、発売前に英メディアが内容を報じた。かつてチャールズ国王が故ダイアナ妃に対し、「よくやった。わたしに跡継ぎ(ウィリアム皇太子)とスペア(ヘンリー王子)を与えてくれた」と話したことが記されているという。

自伝によると、ウィリアム皇太子による暴力沙汰があったのはヘンリー王子がメーガン妃と結婚した翌年の2019年。皇太子はヘンリー王子の自宅を訪問した際にメーガン妃について、「気難しく、無礼で不愉快だ」と述べた。兄弟で怒鳴り合いになった後、兄は弟の襟をつかんで床にたたきつけた。王子は背中にケガをしたという。

2022年9月にエリザベス女王がスコットランドのバルモラル城で死去した際には、父からメーガン妃を城に連れてこないように言われたといい、「父の説明は全く理解できず、受け入れられなかった」と述べた。その他、17歳でコカインを吸引したことや、英陸軍に所属してアフガニスタンに派遣された際にイスラム主義組織タリバンの兵士25人を殺害したことも明らかにした。

ヘンリー王子は22年12月、ネットフリックスのドキュメンタリー番組で王室の内情を明かしたばかりだ。過去にも米テレビ番組で、元女優でアフリカ系のルーツを持つ米国人のメーガン妃に対して王室内の扱いが冷淡であったことなどを暴露している。

今回の自伝の内容に対して王室は今のところ沈黙を貫いているが、懸念されるのは国王や皇太子の印象が悪くなることだ。1995年には、ダイアナ妃が英BBCの番組でチャールズ国王とカミラ夫人との三角関係などを暴露して衝撃を与えている。

20年に一方的に王室から独立したヘンリー王子に対する風当たりは強く、世論調査でも支持率は低い。ただ、幼いころに母ダイアナ妃を事故で亡くした王子は複雑な思いを抱えながら公務をこなしてきた。王子の王位継承順位は5位で、ウィリアム皇太子の3人の子どもの次に位置する。王室に対する姿勢が兄とはかけ離れていても不思議ではない。

自伝では、チャールズ国王が97年に母の事故に巻き込まれたことを告げた際に自分を抱きしめてくれなかったことも明かしている。ヘンリー王子とウィリアム皇太子はかつて国王に、カミラ夫人と結婚しないよう懇願したこともあるという。

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