トルコ・シリア地震、死者5100人に 救援が難航

【イスタンブール=木寺もも子】6日にトルコ南部で起きた地震の死者は7日までに5100人超となった。被害はさらに大幅に膨らむ可能性も指摘されている。シリア北西部は紛争で国際的な支援が入りにくい上、大雪などの悪天候やインフラ被害も救援を難しくしている。
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トルコによると、死者数は3549人、負傷者は2万人以上になった。6日の早朝と午後に起きた2度の大きな地震に加え、7日午前までに300回以上の余震が起きたという。エルドアン大統領は被災した10県を対象に、大統領権限の強化や一定の私権の制限が可能になる3カ月間の非常事態を宣言した。
救助活動は6〜7日の夜中も続き、これまで8000人以上が倒壊した建物の下から助け出されたが、救助は難航している。被害は南東部や南部の広い範囲に広がっており、雪や道路の損傷で救助隊がたどり着けないケースもあるもようだ。
ハタイ県、アドゥヤマン県、カフラマンマラシュ県、ガジアンテプ県で特に多くの被害が報告されており、トルコメディアは7日、ハタイ県アンタキヤの市街地が倒壊している様子を伝えた。同県の空港は地震被害のために閉鎖、イスケンデルン港では火災が続いている。
内戦下のシリア・アサド政権によると、7日午前までに北部アレッポ県などで812人の死亡が確認された。政権の支配が及ばない北西部の反体制派地域では、民間団体によると少なくとも790人が死亡した。北西部からトルコ国境にかけてはキャンプで暮らす国内避難民も多い。
ただ、自国民への化学兵器使用、拷問などの疑いがあるアサド政権は、後ろ盾のロシアやイランなどを除いて国際的に孤立している。トルコと比べ被害の情報が少なく、国際社会による救援も届きにくい状況にある。
世界保健機関(WHO)の高官はロイター通信に対し、最終的な犠牲者の数は跳ね上がる可能性があると指摘した。
現地日本企業にも一部、影響が出ている。東洋鋼鈑のトルコ合弁企業は、現地の混乱などで南東部オスマニエにある工場の稼働を止めた。勤務外だった従業員1人が死亡したという。トルコ南東部には外務省が不要不急の渡航自粛を促している地域が多く、進出企業の多くは西部や中部に集中する。ただ、サプライチェーンの混乱で影響を受ける可能性はある。