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イラク首相暗殺未遂、親イラン勢力の関与巡り対立激化

【イスタンブール=木寺もも子】イラクのカディミ首相の住居が7日、ドローンの攻撃を受けた事件で、イラク国内の親イラン勢力の関与の有無が焦点になっている。同勢力は否定するが、イラク国内では疑う声が上がっており、党派対立の激化が懸念される。米国とイランの間でバランスを維持してきたカディミ政権は難しいかじ取りを迫られている。

国営メディアによると攻撃には爆発物を搭載した無人機が使用された。カディミ氏にけがはなかったが、イラク政府は同氏の暗殺を狙ったテロだと断じた。犯行声明は出ていない。

攻撃主体として名前があがったのが、親イラン勢力だ。10月の議会選で第1党となった「行進者たち」を率いるムクタダ・サドル師は7日、カディミ氏に電話をして対応を協議した。イラク首相府の関係者によると、サドル師は事件を起こしたのはシーア派民兵組織、人民動員隊(PMF)だとした上で「PMFは解散させるべきだ」と主張した。

サドル師自身、シーア派の宗教指導者だが、イランと密接なPMFやPMFの政治勢力「征服連合」とはライバル関係にある。カディミ氏はPMFの解散を否定し、法律に従って捜査すべきだと応じたという。

カディミ氏の住居は政府要人や外交官らが暮らし、厳重に警備される首都バグダッドの「グリーンゾーン」地区にある。

攻撃に先立つ5日、グリーンゾーンではPMFの支持者らのデモ隊が押し入ろうとして治安部隊と衝突した。100人以上が負傷し、死者が出たとの情報もある。デモ隊は征服連合が議席を半分以下に減らした議会選について不正を訴えていた。PMFの幹部はSNS(交流サイト)で関与を否定している。

事件は選挙結果を巡って緊張が高まるイラクの国内対立をさらに悪化させる恐れがある。米・イラン双方による「干渉」に否定的なサドル師の勢力が第1党となったが、過半数には及ばず、親イラン勢力を含む各勢力は連立交渉を進めている。

特定の政治勢力に属さないカディミ氏が続投するシナリオもあるが、事件を巡って親イラン勢力との関係が悪化すれば難しくなる。カディミ氏はイラクに駐留軍を置く米国との関係を重視する一方、9月にはイランのライシ大統領とも会談するなど一定の関係を維持してきた。イラクに影響力を持つ米国、イランはそれぞれ犯人を特定しないままで攻撃を非難した。

PMFは選挙結果を受け入れず、今後も抗議を続ける考えを示している。親イラン勢力、サドル師勢力はそれぞれ民兵勢力を擁しており、暴力を伴う衝突に発展する恐れもある。

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