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EU、トルコの人権問題への懸念強調 1年ぶり首脳会談

6日、アンカラで会談した(左から)EUのミシェル大統領、トルコのエルドアン大統領、フォンデアライエン欧州委員長=ロイター

【イスタンブール=木寺もも子】欧州連合(EU)のミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長は6日、トルコを訪れエルドアン大統領と会談した。EUとトルコの対面の首脳会談は1年ぶり。EU側はトルコの人権状況に強い懸念を表明したが、トルコ側からの歩み寄りは見られなかった。

EUとトルコは2019~20年、東地中海のガス田権益を巡り激しく対立した。EU加盟国のギリシャなどと主張が対立する海域に探査船を送ったトルコの関係者に対し、EUは制裁を発動。軍の艦船や戦闘機同士が接近し、一触即発の事態になった。

トルコは20年12月以降、探査活動を停止し、EUとの関係改善を探っていた。21年1月にはギリシャと東地中海問題を巡る協議を約5年ぶりに再開した。EUは3月の首脳会議で対トルコ制裁の拡大を見送り、今回の首脳会談の実現に至った。

ミシェル氏は首脳会談後の記者会見で過去数カ月間、東地中海を巡る緊張関係が緩和に向かっていることを評価し、トルコの出方次第で関係改善への可能性があると語った。ただ、エルドアン氏はEU側の人権問題を巡る要請に反発したとみられている。記者会見にはエルドアン氏は参加せず、EU側が単独で行った。

首脳会談ではEUとトルコが独自に結ぶ関税同盟の拡大も話し合われたが、EU高官は「(人権状況などの)改善がなければ、加盟国や世論が前向きな議論を受け入れることはない」と話す。トルコ側が求めるビザなし渡航の実現は、会見では言及もされなかった。トルコのEU加盟交渉は近年、停滞を深めている。

トルコは資金支援などと引き換えに、国内に約400万人の難民を抱え、EUへの流入を防ぐ防波堤の役割を果たしている。16年の合意に基づくトルコの難民支援のEU予算は3月で期限を迎えたが、フォンデアライエン氏は「まもなく新たな資金支援の提案を行う」と述べるにとどめた。

難民問題への関心低下を指摘する声もある。トルコは20年春、EUを揺さぶるため国内の難民を送り出そうとしたが、国境を越えたのは数千~数万人程度とみられる。シンクタンク、欧州安定イニシアチブのゲラルド・クナウス代表は「(100万人超が欧州を目指した)15年の難民危機時ほどの流入圧力がないことが明らかになり、トルコの『難民外交』の力は弱まっている」と話す。

東地中海を巡る対立構造は解消しておらず、緊張は再び高まる可能性もある。トルコのシンクタンクTEPAVのニルギュン・アルサン・エラルプEUセンター長は「6月のEU首脳会談まで、EUは難民支援の規模拡大などのアメと制裁強化のムチの両方をちらつかせて様子見を続けるだろう」と指摘する。

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