大英博物館、パルテノン神殿の彫刻返還へ協議 英報道

【ロンドン=佐竹実】英ロンドンの大英博物館が、ギリシャのパルテノン神殿から切り出された彫刻「エルギン・マーブル」の返還についてギリシャ政府と協議していることが分かった。英紙ガーディアンが6日までに報じた。エルギン・マーブルの一部について貸し出しの形で返還する可能性がある。ギリシャ側は完全な返還を求めているという。
エルギン・マーブルは、パルテノン神殿の壁を飾ったレリーフの彫刻群だ。英国の外交官だったエルギン卿がアテネから持ち出し、1832年から大英博物館に展示されている。英国側は、オスマン帝国から許可を得て正式なルートで入手したとの立場だ。
大英博物館は世界の文化財や美術品を所蔵し、かつての大英帝国時代の力を示している。エルギン・マーブルのほか、象形文字解読につながったロゼッタストーン、イースター島のモアイ像などが展示されている。
欧州では文化財をもとあった場所に返還する動きが相次いでいる。2022年12月には、バチカン美術館に所蔵されているパルテノン神殿の頭部の彫刻など3点がギリシャに返還されることが決まった。ローマ教皇フランシスコが、ギリシャ正教会大主教に寄付するかたちをとるという。