欧州委、ドイツ銀行などに警告 国債取引でカルテル疑い
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【ベルリン=南毅郎】欧州連合(EU)の欧州委員会は6日、EU競争法(独占禁止法)に違反したカルテルの疑いで、金融大手ドイツ銀行とオランダのラボバンクに「異議告知書」を送付したと発表した。債券の取引をめぐり、共謀して市場競争をゆがめた可能性があると判断した。
異議告知書は欧州委の見解を示した警告文にあたり、両行は反論の機会が与えられる。ドイツ銀行は日本経済新聞の取材に「欧州委に積極的に協力しており、結果として条件付きで免責される」と回答。「金銭的な処罰を受けることはないだろう」との認識を示した。
欧州委によると、両行は2005年から16年にかけて、トレーダーを通じて債券取引の重要な情報を交換したり、価格や取引戦略を調整したりした疑いがあるという。欧州の国債や政府機関債、住宅ローンを裏付けとするカバードボンドなどの取引が対象で、電子メールやチャットを通じてやり取りされたもようだ。
当初、欧州委と両行は和解する方向で合意していたものの、協議が進まずに欧州委が和解を断念した。欧州委として競争法に基づく通常の手続きに差し戻す必要があると判断した。欧州委が最終的に違反を認めた場合、年間売上高の最大10%まで制裁金を科すこともできる。