ロシア、簡易版ワクチン「スプートニク・ライト」承認

【モスクワ=石川陽平】ロシア直接投資基金は6日、新型コロナウイルスの新しいワクチン「スプートニク・ライト」の使用が同国の保健当局により承認されたと発表した。通常の新型コロナウイルスワクチンは2回の接種が必要だが、1回の接種で済む。プーチン政権は安価な輸出用として供給し「ワクチン外交」を活発にする考えだ。
スプートニク・ライトはロシアが2020年8月に世界で初めて承認した新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」の簡易版といえ、同じ国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所が開発した。接種の対象は18~60歳で、価格が10ドル(約1090円)未満だという。有効性は79.4%としており、90%超としているスプートニクVを下回る。
政府系の直接投資基金は新型コロナウイルスのワクチン生産に取り組んでいる。同基金のドミトリエフ総裁は6日、ロシア国内でのワクチン接種の基本的な手段は今後もスプートニクVで、スプートニク・ライトは外国でのワクチン接種を促進すると説明した。ワクチンが足りない途上国などへの供給を増やす方針だ。
ロシアで4番目のワクチンとなったスプートニク・ライトの承認について、プーチン大統領は6日、ゴリコワ副首相から報告を受けた。同大統領はロシア産ワクチンについて、欧州のある専門家がロシアの有名な自動小銃カラシニコフと同じく信頼性が高いと述べたと指摘し、「全く正しい」と強調した。
直接投資基金によると、スプートニクVはこれまで世界の64カ国が承認した。ロシアと欧米との関係が急速に悪化する中で、プーチン政権にとって新型コロナウイルスのワクチン供給が外交の武器になっている。
プーチン大統領はまた、バイデン米政権が新型コロナウイルスワクチンの特許権の一時放棄を支持して国際供給を増やす意向を示したことに関して「ロシアはこうしたアプローチを支持するだろう」と述べた。ワクチン供給の促進策に前向きな姿勢を示し、深刻な医療問題での国際的貢献をアピールしている。

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