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ローマ教皇、イスラム教と融和強調 シーア派権威と会談

ローマ教皇フランシスコ㊨と会談するイスラム教シーア派最高権威シスタニ師(6日、イラク中部ナジャフ)=ロイター

【カイロ=久門武史、ウィーン=細川倫太郎】歴代教皇で初めてイラクを訪れているローマ教皇フランシスコは7日、過激派組織「イスラム国」(IS)が支配していた北部モスルで犠牲者に祈りをささげた。6日にはイラクのイスラム教シーア派の最高権威シスタニ師と会談しており、宗教間の融和の重要性を改めて訴えた。

教皇は6日、イラク中部のシーア派の聖地ナジャフにシスタニ師を訪ね「宗教間の協力と友情の重要性」を訴えた。シスタニ師の事務所の声明によると、同師は「すべてのイラク人と同じくキリスト教徒が安全かつ平和に暮らすべきだ」との考えを示した。

シスタニ師はイラク国民の多数を占めるシーア派に強い影響力を持つ。90歳の高齢で、公の場に姿を見せるのは珍しい。教皇は2019年、イスラム教スンニ派の最高権威機関アズハルの指導者と対話強化の覚書に署名している。シーア派とも関係を築き、イスラム教との融和を一段と進める姿勢を示した。

教皇は同日、キリスト、イスラム、ユダヤ3宗教の共通の祖とされるアブラハムの生誕地、南部ウルで各宗教の代表者と対話集会を開いた。クルド民族少数派でISに迫害されたヤジド教徒の代表も参加した。

教皇の外遊は新型コロナウイルスの流行後初めてで、19年の訪日以来となった。宗教間の融和を促すと同時に、イラク訪問の直前に「キリスト教徒の皆さん、お会いするのを待ちきれない」と語りかけ、中東のカトリック教会の再興への思いもにじませた。

イラクは人口4千万人弱の大半がイスラム教徒だ。キリスト教徒はもともと圧倒的少数派だが、イラク戦争が開戦した2003年の約140万人から25万人程度まで減ったとされる。14年に台頭したスンニ派の過激派ISはキリスト教徒を迫害し、信者の国外亡命が相次いだ。

バチカン(ローマ教皇庁)のパロリン国務長官(首相に相当)は「教皇はイラクに対し特別な連帯を示したいと思っている」と指摘する。背景には、長年の宗派対立やテロ、戦争で疲弊したイラクの歴史がある。

ISとの戦いで破壊された教会を訪れたローマ教皇フランシスコ㊨(7日、イラク北部モスル)=AP

教皇は7日、14~17年にISが拠点とした主要都市モスルで「この都市の本当の独自性は異なる背景を持つ人々の調和した共生だ」と融和の重要性を強調した。「文明発祥のこの国が蛮行に苦しみ、多くのイスラム教徒、キリスト教徒、ヤジド教徒が殺されたのは悲惨だ」とも語った。続いてISに迫害されたイラク最大のキリスト教徒の町カラコシュを訪問した。

世界で約13億人の信者を抱えるカトリック教会は、逆風が強まっている。お膝元の欧州では高齢化や、伝統的な価値観への反発から離反する人も目立つ。宗教間の対立が絶えない中東における教会の安定は、求心力を維持する意味でも重要になる。

イラクにとっては教皇の訪問を歓迎することで、キリスト教への寛容さを示す機会となる。ISとの戦いで荒れた国土の復興に向け、国際社会の支援への期待もありそうだ。3日に西部で米軍が駐留する基地にロケット弾が撃ち込まれるなど治安が安定しないなか、イラク政府は約1万人の警備体制を敷いて教皇を迎えた。

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