/

ドイツ地方選、与党CDUが圧勝 ラシェット氏に追い風

(更新)
州議会選挙に圧勝したCDUのラシェット党首(5日)=ロイター

【ベルリン=石川潤】ドイツ東部ザクセン・アンハルト州で6日投開票された州議会選挙で、メルケル首相の保守系与党、キリスト教民主同盟(CDU)が圧勝した。極右のドイツのための選択肢(AfD)との接戦が予想されたが、蓋を開けてみれば得票率で10ポイント以上の差が開いた。新型コロナウイルスの感染が下火となり、これまでCDUに吹き付けていた逆風が追い風に変わりつつある。

「ドイツの民主主義にとって良い日になった」。CDUのラシェット党首は7日の記者会見でこう力を込めた。CDUの得票率は前回2016年を7.4ポイント上回る37.1%で、20.8%の極右AfDを突き放した。1桁の得票にとどまったライバルの緑の党やドイツ社会民主党(SPD)を尻目に、9月の連邦議会選挙(総選挙)の前哨戦で党勢の回復を印象づけた。

勝利の背景にあるのが新型コロナ対策だ。公共放送ZDFの調査によると、選挙戦の最も重要なテーマとして最多の31%が「コロナ」を挙げた。CDUのハーゼロフ州首相が率いる州政府の危機管理に満足しているとの回答は65%に達した。極右AfDはコロナ対策が厳しすぎると批判したが、有権者の心には響かなかった。

ドイツの新規感染者数は大きく減少している。4月には全土で2万人を超える感染者が報告されていたが、足元では数千人規模にとどまる。レストランの営業も再開、日常が戻ってきた。経済の先行きは明るさが増し、5月のIfo景況感指数は危機前を上回る2年ぶりの水準に回復した。

今回の州議選の勝利は、秋に引退するメルケル首相の後継を目指すCDUのラシェット党首への追い風となる。ラシェット氏は1月に党首に就任したが、デビュー戦の3月の2つの州議選では感染拡大などが原因で大敗を喫していた。今回敗れれば責任問題が浮上する恐れもあったが、及第点以上の結果を残した。

州議選で伸び悩んだ緑の党のベーアボック党首=ロイター

「もっと多くを期待していた」。対照的に失望を隠せなかったのが、ラシェット氏と次期首相を争う緑の党のベーアボック党首だ。緑の党は環境意識の高まりと、16年間続いたCDUのメルケル政権からの変化を求める世論を追い風に支持率を伸ばしてきた。旧東独の支持基盤は伝統的に薄いが、それでも前回選挙の2倍の2桁の得票を期待する声があった。

得票率は5.9%で、自由民主党に次ぐ第6党にとどまった。ベーアボック氏は「連邦議会選挙は状況が大きく異なる」と強調するが、予断を許さない状況だ。全国の支持率では一時、CDUを逆転したが、最近は再びリードを許しつつある。4月に同氏が首相候補になった直後の勢いは失われ気味だ。

当初はベーアボック氏が唱える「刷新」に喝采を送った有権者も、踏み込んだ環境政策がドイツ経済や自分たちの生活に及ぼす影響を吟味し始めている。ベーアボック氏が党からの収入を報告していなかった問題も浮上し、清廉なイメージにも傷がついた。

総選挙前の最後の州議会選挙が終わり、選挙戦はこれからが本番だ。全国の支持率が20%台で拮抗するCDUか緑の党のどちらかが勝利し、次期政権を担う可能性が高い。CDUの今回の勝利はハーゼロフ州首相の知名度に助けられており、ラシェット氏自身の指導力には不安も残る。ベーアボック氏は残りの3カ月強で政権担当能力をアピールできるかが問われることになる。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン