ステランティス、クライスラーを全車EVに 28年から

【フランクフルト=深尾幸生】欧州ステランティスは5日、北米を中心に展開する「クライスラー」ブランドで2028年以降、全車種を電気自動車(EV)にすると発表した。米アマゾン・ドット・コムとの協業も発表、EVシフトとデジタル化を加速する。
米ラスベガスで開催中の世界最大のテクノロジー見本市「CES」で、EVのコンセプト車「エアフロー・コンセプト」を発表した。25年にクライスラーブランドとして初のEVを投入し、順次ガソリン車をEVに切り 替えていく。
エアフロー・コンセプトは満充電で約560~640キロメートルを走行でき、急速充電に対応する。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と共同開発している車載情報システム「スマートコックピット」も採用。特定の環境で自律走行ができる「レベル3」の自動運転機能も搭載する。
ステランティスは21年7月、30年までに米国の新車販売に占めるEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の比率を4割以上に引き上げる計画を発表していた。このうち8割以上がEVとなる。
北米でピックアップトラックなどを販売する「ラム」ブランドでは、23年にアマゾンに大型商用バンのEVを供給することで合意した。毎年数千台規模を納入する。
アマゾンとはスマートコックピット用のソフトウエアも共同開発する。同社の人工知能(AI)「アレクサ」を使って自宅の対応機器から車両を管理したり、車両に乗る前に車内の冷暖房をつけたりできるようにする。
ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)はCESの記者会見で「ステランティスは『自動車テック』の会社になる。アマゾンや鴻海との提携はこの戦略を進めるための推進力となる」と述べた。