イラン、強める挑発姿勢 米に制裁の早期解除迫る

【ドバイ=岐部秀光】イランは、核合意への復帰に意欲をみせている米国のバイデン次期大統領の就任をにらみ、早期の制裁解除を求めて挑発姿勢を強めている。米側が反発を強め、核合意の修復が遠のく懸念もある。
イランは4日、中部フォルドゥの核施設で、核合意で定められた上限を大幅に上回る濃縮度20%のウラン製造に着手した。さらにイラン革命防衛隊は同日、ホルムズ海峡近くで韓国船籍の石油タンカーを拿捕(だほ)した。一連の挑発的な行動は、イラン国内でロウハニ大統領ら穏健派の発言力が弱まり、反米保守強硬派が勢いを増している状況を映している。
6月の大統領選挙では任期満了となるロウハニ師は出馬できない。米制裁で経済が悪化し、穏健派がとなえた国際協調路線は信頼を失った。穏健派や改革派寄りの候補者の多くは資格審査を通過できない可能性が大きく、より強硬な大統領の誕生シナリオが濃厚だ。
2020年の議会選挙では強硬派が躍進し、革命防衛隊の発言力も強まる。イランの対外政策が一段と強硬路線に傾くとの見方が大勢だ。
15年に成立したイラン核合意は、イランの核関連活動を大きく制限する見返りに関連の制裁を解除する多国間の取り決め。ところが、トランプ米政権が18年に合意から一方的に離脱して強力な原油・金融制裁を復活させた。

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