ロシア、核弾頭搭載可能ミサイルの模擬訓練 欧米けん制
製鉄所の3日間停戦表明、実現疑問視も

ロシア国防省は4日、バルト海沿岸の飛び地カリーニングラード州で、核弾頭を搭載できる短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の模擬訓練を実施したと発表した。100人以上の軍人が参加し、実際に発射はせずに装置を使った訓練をしたとしている。カリーニングラードはリトアニアやポーランドと隣接しており、ウクライナへの支援を続ける欧米へのけん制とみられる。

ウクライナではロシア軍は攻勢を強めつつある。南東部の港湾都市マリウポリのアゾフスターリ製鉄所内に残って戦うウクライナ内務省系「アゾフ連隊」の司令官は動画メッセージで「敵が製鉄所に侵入して2日目に入り、激しい血みどろの戦闘が行われている」と語った。
ロシアは9日に迎える第2次世界大戦の対独戦勝記念日をにらんで軍事作戦を展開している。ロイター通信によると、ペスコフ大統領報道官は4日、プーチン大統領が戦勝記念日に「戦争状態」を宣言するとの見方について「あり得ない」と否定した。ロシアはウクライナ侵攻以降の一連の戦闘を「特別軍事作戦」と位置付けており、英国のウォレス国防相はロシアが戦争状態を宣言する可能性に言及していた。
ロシアの首都モスクワでは4日、戦勝記念日に備えて軍用機の飛行訓練が実施された。軍事パレードには全体でおよそ6万5000人の兵士が参加し、460機以上の航空機が登場する見通しだ。米ワシントン・ポストによると、ロシア軍はマリウポリでも戦勝記念日のパレードを計画中で、襲撃された施設などの撤去作業が進められているという。
一方、ロシア国防省は4日、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリの製鉄所にいる民間人の避難のための「人道回廊」を5~7日に設けると表明した。ロシア軍と親ロ派「ドネツク人民共和国」の部隊が一方的に停戦するとしており、人道上の配慮を示す思惑とみられる。
ただ、これまでの人道回廊の試みは失敗が続いており、実現性を疑問視する向きもある。ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、国連のグテレス事務総長と電話協議し、製鉄所内の負傷者全員を退避させるための支援を求めた。

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