スイス資源大手グレンコア、CEO退任へ 21年前半

【ロンドン=篠崎健太】スイスの資源大手グレンコアは4日、アイバン・グラゼンバーグ最高経営責任者(CEO、63)が2021年前半に退任すると発表した。後任には石炭生産部門トップのギャリー・ネーグル氏(45)が就く。二酸化炭素(CO2)を多く出す石炭への風当たりは強まる一方で、気候変動対応が次期トップの大きな課題になりそうだ。
グレンコアは世界最大級の資源商社で、非鉄金属や穀物などの商品取引や鉱山開発を手掛けている。グラゼンバーグ氏は02年1月にCEOに就任し、生産から販売まで一手に担う巨大資源企業の成長を19年近くにわたり率いてきた。11年にロンドンと香港市場に株式を上場し、13年にはスイス鉱山大手エクストラータとの合併を実現させた。
グラゼンバーグ氏は4日の投資家向け説明会で「65歳までに会社を辞めたいと言い続けてきた。新しい世代、若いリーダーに引き継ぐ時だ」と語った。次期CEOに指名されたネーグル氏は00年に入社し、コロンビアや南アフリカなどで石炭事業に携わってきた。21年初めにオーストラリアからスイスへ拠点を移し、約半年間かけてCEO職の引き継ぎを受ける。
グレンコアは同日、温暖化ガス排出量を50年までに実質ゼロとする目標を発表した。まず35年までに19年比で排出量を40%減らす。石炭の生産量は中長期で減らしていく方向だ。電気自動車(EV)用の電池に使われるコバルトやニッケルなどの有力プレーヤーとして、こうした低炭素社会への移行に貢献する商品を強化する。
経営のかじ取りを引き継ぐネーグル氏にとっては、自身が長く関わってきた石炭事業の縮小にいかに切り込むかが当面の大きな課題になる。
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