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英BBCがロシアで取材活動停止 情報統制懸念、CNNも

(更新)

【ロンドン=中島裕介】英BBCは4日、ロシアでの全ての記者の取材活動を一時的に停止したと明らかにした。ロシア議会で同日、情報の戦時統制強化のために、同国の軍事行動に関して虚偽の情報を広げた場合に刑事罰を科す改正法案を可決。プーチン大統領が署名し成立し、一両日中にも施行される見通しとなったことに対応した。

法律は外国人も対象で最大15年の懲役や禁錮などの刑を科す可能性もあり、BBCは記者の安全の確保を優先したとみられる。

ロイター通信は同日、米CNNがロシア国内での放送を一時的に停止するほか、ブルームバーグ通信もロシア国内での取材活動を一時的にやめると報じた。

BBCのティム・デイビー会長はロシアの改正法について「独立したジャーナリズムのプロセスを犯罪とみなしているようだ」と指摘した。そのうえで「ロシア国内の全ての記者と補助スタッフが仕事を一時停止する以外に手段が残っていない」と表明した。

一方で「ウクライナや世界にいる我々の記者は、ウクライナへの侵略を報道し続ける」とも宣言した。

タス通信によると、下院のヒンシュテイン情報政策・情報技術・通信委員長は改正法案では3年間の自由はく奪刑か150万ルーブル(約150万円)の罰金が規定されていると説明した。深刻な影響を与える虚偽情報を広げた場合は、10年から15年の自由はく奪の刑を科す可能性があるとも述べた。

BBCの活動停止に先立ち、ロシアの情報通信管理当局は、BBCと米ボイス・オブ・アメリカの放送の遮断を発表した。ロシア当局がBBCの報道を敵視していた可能性が高く、これがBBCの判断にも影響したとみられる。

一方、ロシアの規制当局は4日夜、SNS大手フェイスブックへの接続を遮断したと発表した。フェイスブック上でロシア国営メディアへの接続が制限されるなどの「差別」があったためとしている。

運営会社メタのニック・クレッグ社長は声明で「何百万人もの普通のロシア人が信頼できる情報から切り離され、声を上げられなくなってしまう」などとして、サービスを復旧させる努力をする考えを示した。

ロシアでは2月24日の軍事侵攻以来、情報統制が厳しくなった。最高検察庁は3月1日、プーチン政権に批判的なラジオ局やテレビ局の放送停止やインターネット遮断を決めた。2021年にムラトフ編集長がノーベル平和賞を受賞した独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」にも圧力がかかっている。

日本経済新聞社は改正法の適用範囲や運用など詳しい情報が得られるまで、ロシア国内からの報道を一時的に見合わせます。

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