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原油7年ぶり高値、産油国減産縮小急がず インフレ圧力に

【カイロ=久門武史】ニューヨーク市場の原油先物が4日、約7年ぶり高値まで急伸した。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくるOPECプラスが協調減産の縮小ペースを据え置き、供給不足が意識された。需給の緩みを懸念した産油国が減産縮小を見送ったことで、原油高となっておりインフレ圧力になる恐れがある。

OPECプラスは4日のオンライン閣僚協議で、協調減産を毎月日量40万バレルずつ縮小する従来方針を11月も維持すると確認した。7月の合意に沿ったもので、声明は「生産調整計画を再確認した」と素っ気ない。

ガソリン高やインフレを嫌う米国など消費国は供給増を期待する。相場が3年ぶり高値圏にあった9月末、サキ米大統領報道官は「競争的な市場と価格設定の重要性」をOPECと話し合っていると認めた。しかし4日の決定はゼロ回答に終わった。

「状況を注視していく。第4四半期は需要が減るものだ」。ロイター通信によるとロシアのノワク副首相は4日、既定路線の維持について説明した。急いで供給を元に戻さないのは、需給の緩みを招き相場が下がるのを避けるためだ。

現在の減産縮小ペースを続けると、不足感は解消していくとの見方は強い。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストの推計によると、2021年は年平均で日量84万バレルの供給不足だが、22年は223万バレルの供給過剰に転じる。

新型コロナウイルスワクチンの普及で経済活動は正常化に向かうが、変異ウイルスや感染の新たな波で経済が冷え込むリスクは消えない。需要不足は原油安を招き、産油国にとっては収入減に直結する。高値の維持が望ましいのが本音だ。

金融市場にも目配りしている可能性は高い。米国の金融緩和縮小や中国の過剰債務問題への不安などで市場心理がリスクオフに傾くなか、原油の売り材料となる急な減産緩和は避ける必要があった。

しかし、40万バレルを超える減産縮小に踏み込むとの観測も一部にあったため、OPECプラスの既定路線維持に市場は買いで反応した。ニューヨーク原油先物は4日、一時1バレル78ドル台と前週末比3%上昇し、14年11月以来の高値をつけた。

20年にコロナ禍で急減した原油需要はワクチン普及で持ち直し、米ハリケーンの影響もあって在庫水準は下がっている。先高観は強い。米ゴールドマン・サックスは9月末、年末の北海ブレント原油の価格見通しを1バレル90ドルに10ドル引き上げた。「供給不足は想定より大きく、デルタ型による打撃からの回復は速い」と指摘した。

欧州での天然ガス相場の高騰も影響する。代替燃料として原油の引き合いが強まるからだ。電力不足が深刻な中国では韓正(ハン・ジョン)副首相が、冬を前に十分な燃料をなんとしても確保するよう国営企業に命じたと米ブルームバーグ通信が伝えた。

暖房需要が膨らむ季節が近づくなか、アジアでも液化天然ガス(LNG)のスポット価格が記録的な急騰を演じている。原油高とあいまってインフレ圧力となり、世界経済の回復の足を引っ張る恐れがある。

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