欧州で記録的暖冬 ガス価格、ウクライナ侵攻前水準に

【ロンドン=大西康平】欧州が記録的な暖冬となっている。ドイツやポーランドなど1月の過去最高気温を更新する国が相次いでいる。暖房へのエネルギー需要が弱まるとの期待から、天然ガスの価格はウクライナ侵攻前水準まで下落した。光熱費の上昇一服につながれば、高止まりが続く欧州のインフレが和らぐ可能性もある。
ドイツ気象局は1日にツイッターで、首都ベルリンの同日の気温が16度と、1月の過去最高気温の記録を更新したと投稿した。英BBCなどによると、ポーランドのワルシャワは18.9度、ベラルーシでは16.4度と、1月の過去最高をそれぞれ4度と約4.5度上回ったという。スイスでは気温が20度となりスキー場の雪不足が問題となっている。
ウクライナでも気温の高い日が続いている。同国の気象当局によると、首都キーウ(キエフ)では1日の平均気温が10度を超え、1月としては記録的な暖かさとなった。
暖房の必要性が減ったことでガスの在庫枯渇の警戒感が和らぎ、ガス価格が下落している。欧州の天然ガス指標のオランダTTFは3日時点で1メガワット時あたり約72ユーロと、ロシアのウクライナ侵攻前の水準(約84ユーロ)を下回った。供給不足への懸念から8月には一時340ユーロ強まで上昇していた。
ただ、今週末からは欧州各地で冷え込むことが予想されている。英BBCなどによると、キーウでは7日の最低気温がマイナス11度となる見通し。その後も最高気温が氷点下となる日が続く見込みだ。
ロシアとの戦闘が激化するなか、気温の低下は戦況に影響を与える可能性がある。ぬかるんでいる地面が凍結すれば、戦車など地上軍の移動がしやすくなるためだ。ウクライナ側は地面が固まるのを利用して攻勢を強めるとみられ、戦闘がさらに激しくなることが予想される。

2022年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって1年になります。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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