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ロシアの国際法違反追及へ キーウ近郊、集団埋葬地か

(更新)

ウクライナ侵攻でのロシアの戦闘行為について、欧米各国で国際法違反を追及する声が強まっている。ウクライナによると首都キーウ(キエフ)近郊で410人の民間人の遺体が見つかり、英米などは「戦争犯罪」と非難した。ロシア側は殺害を否定するが、これまでも病院などへの無差別攻撃などが指摘され、国際人道法であるジュネーブ条約などに違反する可能性がある。

欧米メディアによるとキーウ近郊のブチャなどで民間人のような服装をした複数の遺体が発見され、後ろ手に縛られた遺体もあった。ブチャは撤収前、ロシア南部チェチェン共和国から送り込まれた戦闘員の支配下にあったという。

米衛星運用会社のマクサー・テクノロジーズが3月31日に撮影した人工衛星写真では、ブチャの教会近くに穴が掘られているのが確認できる。欧米メディアによると穴は長さ約14メートルで、集団埋葬地とみられるという。米CNNは地元住民の話として、150人を埋葬したと報じた。

AP通信によると、北東部スムイ州の州知事は4日、SNS(交流サイト)で「数百人の市民が殺害された」と訴えた。

ブリンケン米国務長官は米CNNで民間人の殺害に「衝撃を受けた」と述べ、戦争犯罪の責任を追及していくと語った。トーマスグリーンフィールド米国連大使は4日、ロシアの国連人権理事会における理事国資格停止を要請すると述べた。フランスのマクロン大統領は「(戦争犯罪を)非常に強く示唆する情報があった」と批判した。

国連のグテレス事務総長も「深い衝撃を受けている」として、独立した調査による事態解明の必要性を訴えた。

戦争犯罪は①集団殺害犯罪②人道に対する犯罪③戦争犯罪④侵略犯罪――に分かれる。早稲田大の萬歳寛之教授は、ブチャの市民殺害などは「組織的に市民らを故意に殺害する②、交戦中にやってはいけないルールを逸脱する③のどちらかに該当するとみている」と指摘する。

武力紛争時に一般市民や医療者らを保護する代表的な国際法がジュネーブ条約だ。第2次世界大戦後の1949年には、戦闘行為に参加しない民間人や捕虜の保護も盛り込んだ。武力紛争による被害をできる限り軽減するのが目的だ。

ウクライナのベレシチューク副首相は4月3日、対話アプリ「テレグラム」でロシア軍によってウクライナ各地の首長11人が拘束されていると主張した。事実であれば文民保護を明記したジュネーブ条約違反となる。副首相によるとキーウ近郊のモツジン村の村長は遺体で見つかったという。

ロシア軍は3月4日、ウクライナ南部にあるザポロジエ原発を攻撃した。破壊されると危険な施設への攻撃も同条約で禁止されている。

燃料気化爆弾やクラスター爆弾も、ロシア軍がウクライナ領内で使用したとの疑いがある。こうした無差別攻撃はジュネーブ条約やオスロ条約に違反する可能性がある。

浅田正彦同志社大教授は「もともとロシアのウクライナ侵攻では国際法違反に該当する行為が多かったが、ブチャでの市民殺害などの事例で悪質性の段階がさらに上がった印象だ」と指摘する。「明らかに故意と読み取れる行為が目立つ」という。

一方、ロシア側は民間人虐殺はウクライナによる扇動だと否定する。ロシア国防省は4月3日、ロシア軍の駐留中に「市民の誰一人としてロシア軍による暴力を受けていない」と虐殺を否定した。ロシアのペスコフ大統領報道官は4日、殺害された人々の映像に「我々の専門家が偽造の兆候を見つけた」と主張した。

戦争犯罪を裁く場としては、国連安保理決議に基づく国際戦犯法廷や、国際刑事裁判所(ICC)など複数の仕組みがある。ただ、実効性のある罰則をロシアに科すのは難しいとみられる。

1990年代に旧ユーゴスラビア紛争の戦後処理のため、国連安保理決議に基づいて国際戦犯法廷が開廷され、紛争当事者に有罪判決が出たことがある。ただ、ロシアは安保理の常任理事国で拒否権を行使できる。

ウクライナの提訴を受け、国際司法裁判所(ICJ)は3月にロシアの侵攻に関する審理を始めたがロシアは欠席した。

ICCも3月、捜査開始を発表した。ウクライナ領内で起きた戦争犯罪を捜査できるが、ロシアは非加盟国だ。このため、犯罪を認定されたロシアの関係者がICCの締約国に滞在する場合に拘束力は限定される。

ICCの検察官が組織的な戦争犯罪を十分立証できればプーチン氏やロシア高官に逮捕状を発行できる。ただ実際に身柄を拘束してICCに引き渡すハードルは高い。(押切智義、ワルシャワ=久門武史)

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