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EUが対ロシア追加制裁案 年内に石油禁輸へ

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【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は4日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの追加制裁案を公表した。ロシア産石油の輸入を年内に停止するほか、ロシア銀行最大手のズベルバンクを国際的な資金決済網から排除することも盛り込んだ。

欧州委員会の追加制裁案は経済的な圧力を一段と強め、ロシア経済を弱体化させる狙いがある。制裁の発動には全加盟国の承認が必要で、EUは正式な発動に向け、加盟国間で調整を急ぐ。米英はすでに石油の禁輸を表明しており、日本も同分野での対応を迫られる可能性がある。

フォンデアライエン氏はフランス・ストラスブールの欧州議会での演説で「(制裁案で)ロシア経済から多様化と近代化の能力を奪う」と訴えた。フォンデアライエン氏は同時にウクライナの復興を進めていく考えも示した。

ロシアからのエネルギー禁輸は、4月に輸入禁止で合意した石炭に続く措置となる。具体的にはロシアからの原油の供給を6カ月以内に、石油精製品を年内に停止する。

EUは米英に比べてロシア産石油への依存度が高い。石油代金の支払いでロシアの戦争費用を間接的に拠出しているとの批判も強く、禁輸に踏み込む必要があると判断した。

欧州は2021年、ロシアから原油などを日量200万バレル超輸入した。同年にEUは英国とあわせて石油の代金としてロシアに約1000億ドル(約13兆円)を支払ったとの試算もある。

制裁案にはズベルバンクを「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除することも明記した。EUはすでに3月に同国2位のVTBバンクなどを排除したが、経済への影響を懸念してズベルバンクは対象にしていなかった。

このほか、ロシアの3つの官製メディアをEUの放送などの電波から締め出すほか、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリでの戦闘にかかわったロシア軍関係者らの資産凍結も盛り込んだ。

石油で合意できれば、EUは天然ガスを制裁対象に加えることを検討する構えだ。3日、ギリシャで液化天然ガス(LNG)ターミナルの開設式典に参加したミシェルEU大統領は「ロシアの化石燃料への依存を終わらせる」と述べた。

ガスの制裁は石油よりはるかにハードルが高い。依存度が石油より高いうえ、調達先の多様化が難しいためだ。EUは米国などからLNGの輸入を増やす協力を進めたり、カタールやアルジェリアなど産ガス国からの供給増に向けて議論したりしているが、完全な依存脱却には数年かかるとの見方もある。

容易ではないとはいえ、ロシアがポーランドとブルガリアへのガス供給を止めるなど、ガスを「武器として使っている」(ミシェル氏)状況を考えれば、エネルギー安全保障上の観点からもロシア産ガスへの依存解消を急ぐ必要がある。

EUは5月30~31日と6月23~24日に首脳会議を開き、さらなる制裁について討議する。ガスの禁輸案も含まれる見通しだが、ロシアに強硬なポーランドやバルト3国が早期実現を訴える一方、ドイツや一部の中・東欧諸国は慎重だ。

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