英国株が過去最高値 利上げ鈍化・エネルギー決算好調で

【ロンドン=大西康平】3日の欧州株式市場で英国の代表的な株価指数のFTSE100が過去最高値を更新した。英イングランド銀行(中央銀行)が今後の利上げ幅の鈍化を示唆したことで、金利上昇による景気後退への不安が和らいだ。原油やガス価格の上昇により、主力のエネルギー企業の好業績が続いていることも追い風となった。
3日にFTSE100は続伸し、前日比81.64ポイント(1%)高の7901.80で引けた。2018年5月に付けたこれまでの過去最高値を約5年ぶりに上回った。
きっかけは2日にイングランド銀行が金融政策委員会の声明文を公表したことだ。23年は物価上昇率が大きく鈍化する見通しを出し、今後の利上げ幅の縮小や利上げの一時停止の可能性を示唆した。
高インフレの抑制のための利上げ継続によって、深刻な景気後退に陥るとの悲観論が和らいだ。家計の実質所得の回復期待から小売りなどの消費株を中心に買いが入っている。
好決算が続く主力のエネルギー企業の株高も指数を押し上げている。英シェルは2日に22年12月期の純利益が前年比2.1倍と過去最高となり、40億ドルの自社株買いを発表した。ロシアのウクライナ侵攻をきっかけとしたエネルギー価格の上昇が利益拡大につながっている。7日に決算発表予定の英BPにも期待がかかっている。
EU離脱(ブレグジット)による経済への悪影響や政治不安の懸念から、英国株は投資家からの買いが入りにくかった面がある。QUICK・ファクトセットによると、FTSE100の予想PER(株価収益率)は約11倍と、米ダウ工業株30種平均の約18倍や日経平均株価の約16倍と比べて割安さが目立っている。
フィデリティのアレックス・ライト・ポートフォリオマネジャーは「バリュエーション(投資尺度)の面で、海外の株価指数と比べて英国株は魅力的な水準となっており、今後3〜5年の運用リターンへの期待は高い」と指摘する。