EU、ウクライナ兵3万人訓練 支援強化へ共同声明

【ロンドン=大西康平】欧州連合(EU)とウクライナは3日、同国の首都キーウ(キエフ)で首脳会談を開いた。EUの軍事や財政面での支援強化を柱とする共同声明を発表した。ロシアの侵攻から24日で1年を迎える前に、両者の結束をアピールする狙いだ。ウクライナのEU加盟についても協議したが、EUは慎重な姿勢を示した。
EUのフォンデアライエン欧州委員長、ミシェル大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領が会談した。会談後の共同声明では「ウクライナは可能な限り政治的、軍事的支援を提供し続けるというEUの努力を歓迎する」と強調した。
EUは2023年にウクライナ兵3万人の訓練を手がけ、EUと加盟国の軍事支援の金額は約120億ユーロ(約1兆7000億円)にのぼるとした。また緊急支援やインフラ復旧などのため同年に約180億ユーロを提供すると表明した。
EUが対ロシアの追加制裁を継続することも明記した。ロイター通信や米CNNなどによると、フォンデアライエン氏は「2月24日までに約100億ユーロ規模の新たな対ロシア制裁を発動する」と会談後の記者会見で発言した。ロシアのドローン(無人機)攻撃で使われる部品や技術を対象にする方針を示した。
ゼレンスキー氏は同じ記者会見でEUの対ロシア制裁は「ロシアが軍事力を再構築できないことを目的にすべきだ」と注文をつけた。ロシアが制圧を目指す東部の要衝バフムトを「手放さない」と宣言し、そのためには強力な軍事支援が必要だと訴えた。
ウクライナのEU加盟について、フォンデアライエン氏は「厳格なタイムラインはない」と語った。同国の司法改革や汚職撲滅などの姿勢を歓迎しつつも、加盟要件を満たすかは慎重に精査する姿勢を示した。EUはウクライナを将来のEU加盟に道を開く「加盟候補国」と位置付けている。
共同声明では、ロシアの「侵略罪」を訴追するための新たな機関をオランダ・ハーグに設置する方針も記した。ウクライナからの避難民は少なくとも24年3月まではEU下で保護されるとした。

2022年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって1年になります。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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