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サプライチェーン上の人権保護、欧州先行 違反で罰金も

欧州では企業の人権問題への取り組みへの関心が高まっている(4月、ロンドンでのウイグル問題への抗議活動)=ロイター

強制労働などの人権侵害がサプライチェーン上にないか、企業に調査を求めるルールづくりが欧州先行で広がってきた。欧州連合(EU)は年内にも罰則つきの法案を公表する。人権侵害への対応強化は世界の潮流で、遅れれば日本企業がグローバルなサプライチェーンから排除される懸念もある。

欧州で法制化が進むのがサプライチェーン上に人権侵害リスクがないかを企業が把握し、予防や軽減策を講じる「人権デューデリジェンス(DD)」という取り組みだ。

中国への対抗も視野に、米欧が人権侵害への関与排除を企業に求める動きを強めていることが背景にある。6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の共同宣言でも「グローバルなサプライチェーンにおけるあらゆる形態の強制労働の利用の根絶」をめざすと明記した。

EUは7月、企業向けガイダンス(指針)を発表した。年内にも罰則つきの法案を公表する見通しだが、新法成立まで時間がかかる。法案の方向性をまず指針を通じて企業に示した形だ。

指針では、国際労働機関(ILO)の基本条約を批准していない国や、少数民族に属する国民への労働プログラムを実施する国では特に注意し、企業に詳細な調査をするよう要請した。

具体的には事前に知らせない現地での抜き打ち検査や、管理職のいない状況での聞き取りを挙げた。強制労働が認められれば、是正のための行動計画をまとめ、それでも改善しなければ契約を解除することを検討するよう求めた。

法律が成立すれば対象はEU企業だけにとどまらなさそうだ。EU域内で一定規模の事業を手掛けていれば、日本企業なども対象になる見通しだ。

一足先に罰則を含むルールを独自につくったEU加盟国もある。オランダでは22年にも児童労働を禁じる法律が施行される予定だ。違反すれば売上高の最大10%などの罰金や役員への懲役刑が規定されている。さらに不法労働や差別、環境問題などより広範な人権保護をめざす法案が国会に提出されている。

ドイツでも6月に法律が成立し、23年から施行の予定だ。EUを離脱した英国も15年成立の「英国現代奴隷法」で、企業に調査の開示を義務づけた。フランスも17年、同様の「企業注意義務法」を制定した。

米国でもカリフォルニア州で「サプライチェーン透明法」が12年に発効ずみ。同州で事業展開する年間総受取額が1億ドル以上の小売り・製造業者が対象で、サプライチェーン上の人権リスクへの対応の情報公開を義務づけた。ニューヨーク州も「ニューヨーク州サプライチェーン透明法」を審議中だ。

(ブリュッセル=竹内康雄、ニューヨーク=西邨紘子)

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