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英財務相、高所得者向け減税策を撤回 金持ち優遇批判で

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【ロンドン=中島裕介】英国のクワーテング財務相は9月下旬に発表した大規模減税策のうち、高所得者向けの所得税の減税を撤回すると表明した。3日朝の英BBC番組で語った。減税策の重要項目の撤回は、発足1カ月足らずのトラス政権にとって痛手となる。

減税策全体の規模は年450億ポンド(7.3兆円)だが、撤回する高所得者向け減税の財政負担は数十億ポンドほどにすぎない。トラス政権の経済対策に対する市場の懸念が払拭されるかどうかは不透明だ。

撤回するのは、年収15万ポンドを超える部分にかかる所得税率を45%から40%に引き下げる計画だ。物価高に苦しむ一般市民からの「金持ち優遇」との批判は強く、与党・保守党の閣僚経験者の下院議員が採決で反対する可能性を示唆していた。

クワーテング氏はBBC番組で経済対策全体は高い効果があると強調したうえで、高所得者向け減税が「そこから気をそらすものになった」と釈明した。

3日の外国為替市場は財務相の発表を好感し、英通貨ポンドが対ドルで一時急騰し、1ポンド=1.12ドル台をつけた。

これで市場の懸念をすべて拭えるかどうかはなお見通せない。

トラス政権は9月6日に発足した。クワーテング氏が23日に発表した対策は大規模な減税策だけでなく、向こう半年で600億ポンドを投じる企業・家計向けの光熱費高騰対策も盛り込んでいる。政府は当面、国債発行で財源を賄う方針で、現段階では中期的な財源確保の計画も示していない。

週末を挟んだ26日には英ポンドが対ドルで最安値に沈み、債券市場では英国債利回りが上昇(債券価格は下落)するなど市場が英財政への懸念を深めた。政権への信頼が低下し、英調査会社ユーガブが29日発表した世論調査では、保守党の支持率は21%にとどまった。

イングランド銀行(英国の中央銀行)が28日に国債の買い入れを発表し、市場の動揺はひとまず一服した。だが、政府が11月までに発表する財政再建計画の具体策次第では、再び市場の懸念が高まる可能性は残っている。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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