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英中銀「数カ月で利上げ必要」 物価見通しを大幅上げ

【ロンドン=篠崎健太】英イングランド銀行(中央銀行)は4日発表した金融政策委員会の声明で、景気が想定通りに推移すれば「物価上昇率を2%の目標へ持続的に戻すため、今後数カ月で政策金利の引き上げが必要になる」と表明した。供給制約やエネルギー高を受けて物価見通しを大きく上方修正し、インフレ警戒を鮮明にした。今回は政策金利を過去最低の年0.1%に据え置いたが、近い将来の引き締め転換を事実上予告した。

政策金利の現状維持は2日まで開いた金融政策委で、投票権をもつ9人のうちベイリー総裁を含む7人の賛成多数で決めた。ラムスデン副総裁とソーンダース政策委員は反対し、0.15%引き上げて0.25%にするよう求めた。

国債や社債を市場から買い入れる量的緩和策については、購入枠の上限を8950億ポンド(約140兆円)で維持することを6対3の賛成多数で決めた。3人は新規買い入れをすぐ止めるべきだと主張した。即時停止を求める委員は前回の9月から1人増えた。残高は年末にも上限に達する見込みで、その後は再投資して規模をしばらく保つ。

近く利上げが必要との見方に傾いたのはインフレが想定より定着する恐れが増したからだ。英消費者物価指数(CPI)の上昇率は9月まで2カ月続けて3%を超えた。新型コロナウイルス関連の規制緩和による経済活動の再開で需要回復が進むなか、部品や人手不足などの供給制約が強まり、天然ガスや石油などエネルギー価格の高騰が進んだ影響が大きい。

今回はCPI上昇率が10月に4%弱、11月に4.5%へそれぞれ上がり、22年4月にピークの5%程度になるとの予測を示した。エネルギーや食品などの値上がりを織り込み、9月時点の「21年10~12月に4%をやや上回る」からさらなる上方修正を迫られた。

22年後半からは供給制約が和らぎ、CPI上昇率も伸び悩むとみている。ただし向こう2年にわたり「2%をやや上回る」との見方を示した。これは政策金利が足元の金融市場の予想通り、22年末にかけて1%まで引き上げられることを前提したもの。仮に政策金利を現状にとどめ続ければ、向こう2年のCPI上昇率は2.8%になると推計した。

イングランド銀は政府から2%のインフレ目標を課されている。議事要旨によると、利上げを求めた2委員は雇用情勢の堅調さなどを挙げ「現状維持すれば中期的な予想物価上昇率がさらに高まる」との懸念を示した。

大方の委員は金融引き締めの見送りに投票したが、これは新型コロナの一時帰休支援制度が9月末で終わった影響の評価を待つ必要があると判断したためだ。経済が見通し通りなら数カ月以内に利上げが必要だと「委員会で判断した」としており、現状維持に投票した委員も近く引き締めるべきだとの考えを共有したもようだ。

英経済には供給制約やエネルギー価格高騰の影が広がっている。英国の天然ガス価格は10月上旬にかけて急騰し、年初来で一時5倍を超えた。イングランド銀は最新見通しで供給制約を踏まえ、22年の英実質国内総生産(GDP)の予想を前年比6%増から5%増へ引き下げた。22年1~3月期にもコロナ禍前の水準に戻すとみている。

イングランド銀は20年3月、新型コロナの感染急拡大を受けて、2度の臨時決定で政策金利を0.75%から過去最低の0.10%まで引き下げていた。一時帰休制度の終了が雇用情勢に大きく響かなければ、日米欧の主要中銀でコロナ禍後で初の利上げに転じる公算が大きくなった。

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