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トルコ、シリア侵攻作戦を準備か ロシアと水面下協議も

クルド系掃討で政権浮揚狙う

【イスタンブール=木寺もも子】トルコが隣国シリアへの越境軍事作戦の準備を進めているもようだ。政府は侵攻の用意を表明しており、シリアに影響力を持つロシアと水面下の交渉を行っているとの情報もある。テロ組織とみなすクルド系武装勢力を掃討し、低迷する政権支持率回復につなげる思惑がある。

「いつでも必要な時に越境作戦を行う。テロ組織との戦いから退却することはない」。トルコ国営放送によると、エルドアン大統領はローマを訪れていた1日、同行記者団にこう語った。

シリアと国境を接するトルコ南部では10月、シリア側からの越境ミサイル攻撃を受けてトルコ人警察官2人が死亡した。トルコはクルド系武装勢力によるものだとして、越境軍事作戦で国境の安全を確保する考えを示唆している。

トルコの議会は10月26日、シリアとイラクへの派兵期限を2年延長した。シリア人権監視団(英国)は9月末以降、550台以上の軍用車両がトルコからシリア国内に入ったほか、トルコが支援するシリア反体制派がクルド系勢力の支配地近くに移動していると指摘する。ロイター通信は4日、「軍事作戦の実施に必要な準備はまもなく完成する」とするシリア反体制派スポークスマンの話を伝えた。

トルコは2016年以降、3度にわたってシリアへの越境軍事作戦を実施し、国境沿いの一部地域を占領下に置いている。テロ組織とみなすシリアのクルド系武装勢力を国境沿いから排除し、「安全地帯」を設ける考えだ。4度目の軍事作戦を実施する場合、現在の占領地域を分断するユーフラテ川以東の国境地帯が目標になるとみられている。

このタイミングで再び軍事作戦の実施をほのめかす理由について、シンクタンク、ジャーマン・マーシャル・ファンドのオズギュル・ウンルヒサルジュクル氏は「経済の苦境から国民の関心をそらす狙いがある」とみる。20%近い高インフレで、エルドアン氏の支持率は複数の世論調査で軒並み過去最低水準に沈んでいる。

ウンルヒサルジュクル氏は、トルコが支援する反政府勢力がシリア北西部イドリブ県で守勢に立たされていることも背景にあると指摘する。イドリブではおおむね停戦が維持されているが、アサド政権や後ろ盾になっているロシアの力が強く、トルコの勢力圏は徐々に後退している。こうした情勢を受けて「代わりの土地を取ってみせる必要がある」という。

中東のネットメディア「ミドルイースト・アイ」は、シリアでは対立する立場にあるトルコとロシアがひそかに協議していると報じた。クルド系勢力の拠点をトルコが占領するのをロシアが黙認する代わり、トルコがイドリブで主要幹線道路周辺から後退する案などが検討されているという。

もっとも、ロシアと同じくアサド政権を支援するイランや、クルド系勢力と協力関係にある米国などもトルコのシリア侵攻に反対する立場にある。シンクタンクEDAMのアナリスト、シネ・オズカラシャヒン氏は、新たな軍事作戦が実施されるかは判断しがたいとした上で「実施されても規模は限定的だろう」とみる。

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