メルセデス、走行距離1000キロのEV 25年にも発売
(更新)

【フランクフルト=深尾幸生】独メルセデス・ベンツは3日、満充電で1000キロメートル以上走れる電気自動車(EV)のコンセプト車「ビジョンEQXX」を発表した。この車両をベースにした市販車を2025年ごろ発売する。消費者がEVに対して抱く距離への不安を払拭し、EVへの買い替えを促す。
ガソリン車の燃費に相当する電費(電池の消費効率)では、10キロワット時あたり100キロメートル以上を実現する。既存車種のなかでは電費の良いメルセデスの旗艦車種「EQS」と比較しても6割高い水準だ。
空気抵抗を少なくした車体デザインを採用するほか、駆動システムの効率を改善した。電池のエネルギーを車輪の駆動に変える際のエネルギー損失は5%と、現在の5分の1に減らす。電池のエネルギー密度も高め、走行距離784キロメートルのEQSの電池パックと比べて体積は半分、重量は約3分の2に減らした。
マークス・シェーファー最高技術責任者(CTO)は日本経済新聞などの取材に対し、「24年か25年に投入する新型EV専用車台にこの技術を採用する」と明らかにした。中型車やコンパクト車に搭載されるという。
メルセデスは21年夏に、30年にもすべての新車販売をEVにする計画を発表した。30年までに400億ユーロ(約5兆2000億円)をEVに投資する。

温暖化ガス排出を実質ゼロにするカーボンゼロ。EVや再生可能エネルギー、蓄電池、各国政策などの最新ニュースのほか、連載企画やデータ解説を提供します。