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英で低価格ワクチン接種開始 途上国で普及期待

(更新)

【ロンドン=佐竹実】英国で4日、英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学が開発したワクチンの接種が始まった。同ワクチンは安価な上に通常の冷蔵庫で保管できるのが特徴で、日本も6千万人分の調達契約を結んでいる。一方、ワクチン接種で先行した米国の接種人数は3日時点で422万人と目標の2割強にとどまった。

アストラゼネカのワクチンは「ウイルスベクターワクチン」と呼ばれるタイプで、素早く設計・製造できるのが強みだ。2020年9月に副作用の疑いで臨床試験(治験)を一時中断し、米ファイザーなどのワクチンに実用化で後れを取った。アストラゼネカは21年中に30億回分を生産する計画で、英政府は1億回(5千万人分相当)、日本政府は1億2千万回分を調達する契約を結んだ。

すでに英国や米国などでは「メッセンジャーRNA(mRNA)」と呼ぶタイプの米ファイザーと独ビオンテックのワクチンの接種が始まったが、セ氏マイナス70度前後の超低温での保管が必要だ。同種の米モデルナのワクチンも、セ氏マイナス20度での輸送や保管が条件だ。アストラゼネカのワクチンは冷蔵庫で保管でき、価格も安いため途上国などの普及に期待がかかる。

ジョンソン英首相は3日、英BBCの番組で「英国は『室温ワクチン』で世界の先端を行く。将来に向けた真の望みだ」と述べた。英政府はサッカー場などを使った大規模な接種を計画し、4日時点では53万回分を用意した。ジョンソン氏は「今後3カ月で数千万回が可能になると信じている」とした。

高齢者や介護施設の入居者ら、リスクの高い人から順に接種する。ワクチンは2回接種するが3カ月の間隔を空け、より多くの人に1回目を行き渡らせる。英BBCによると、治験では1回の接種で70%の予防効果を確認した。

英政府がワクチン接種を急ぐのは、国内で変異種も含めた感染拡大に歯止めがかからないためだ。首都ロンドンなどでは20年12月20日から飲食店などを閉鎖したが、3日に新たに確認された感染者数は6日連続で5万人を超え、累計死者数も7万5千人に達した。

ジョンソン氏は3日「さらに厳しい規制を敷くかもしれない」と述べた。ロックダウン(都市封鎖)の対象地域の拡大や学校閉鎖などの対策を検討している。

先行した米国のワクチン接種人数については、米疾病対策センター(CDC)は3日時点で約422万人になったと発表した。米政府は20年末までに2千万人接種を目標にしていたが、大幅に出遅れている。トランプ大統領は「連邦政府は各州へワクチンを配送した。後は州政府次第だ。すぐにやれ!」とツイートしたが、3日時点での発送件数も約1300万件分にとどまっている。

出遅れた要因は人手不足だ。ロイター通信によると、連邦政府から各州への補助金が足りず、ワクチン接種や設備設営に必要な人員を雇用できていないという。政府は「ワープ・スピード作戦」を通じて迅速なワクチン開発のための資金手当てを優先した一方、ワクチン運搬や接種人員手当ての取り組みは足りなかった。

3日に米ABCテレビに出演した米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は「出遅れたのは疑いようがないが、加速すれば巻き返せる」と述べた。

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