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ロシア、北方領土に経済特区創設へ 実効支配を強化

(更新)

【ウラジオストク=石川陽平】ロシアのプーチン大統領は3日、極東ウラジオストクで開催中の東方経済フォーラムで演説し、北方領土に日本企業など外資を誘致するための特区を創設すると表明した。フォーラムの議論の場では「日本との平和条約がないことはナンセンスだ」とも述べ、平和条約締結交渉の進展に意欲を示した。

新たに創設する特区は、クリール諸島(千島列島と北方領土)全体を対象に企業の関税を免除する。付加価値税や法人税、資産税も10年間はゼロとし、社会保障の負担も軽減する。プーチン氏は「この優遇策はロシアだけでなく日本を含めた外国の企業も利用できる」と日本に言及し、外資の進出を求めた。

プーチン氏はまた「日本はこの難しい条件の中で東京五輪・パラリンピックを成功させた」と述べ、祝意を表明した。3日の演説では少なくとも3度、日本の国名を挙げ、異例ともいえる日本への呼びかけとなった。

クリール諸島での特区創設は、ミシュスチン首相が7月26日に北方領土の択捉島を訪れた際に提案した。これに先立ち、7月23日にはプーチン氏が安全保障会議で「ユニークで前例のない提案」をすると発言していた。

日ロは2016年12月の首脳会談で、互いの法的立場を害さない「特別な制度」の下で共同経済活動を実施するために協議を始めることで合意した。ただ、「特別な制度」に関する政府間協議は難航しており、日本の主権が守られない現状では日本の経済進出は難しい。

日本から見れば、ロシアによる今回の特区創設は、北方領土の経済開発を促進して実効支配を強める動きでもある。トルトネフ副首相(極東・北極圏担当)は日本に加えて中国や韓国の企業を誘致したい考えも示した。

クリール諸島の一部地域はこれまでも「先進発展地域」と呼ぶ経済特区が適用されて税制優遇措置などを受けてきた。今回の特区では、さらに関税や付加価値税も免除することとし、踏み込んだ企業誘致の制度となった。

ロシアでは20年7月に憲法が改正され、領土割譲を禁止する条項が盛り込まれた。プーチン氏は憲法改正後も「(日本との)平和条約締結への関心があるという姿勢は変わっていない」と述べた。ただ、平和条約締結には「攻撃ミサイルシステムをはじめ米軍がロシア国境近くに配備されない」との保証が必要だと強調した。

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