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トヨタの脱炭素、規制強まる欧州から 35年全車排出ゼロ

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【フランクフルト=深尾幸生】トヨタ自動車が欧州から脱炭素を本格化する。2日、欧州で2035年に販売する新車をすべて電気自動車(EV)など二酸化炭素(CO2)を排出しないゼロエミッション車(ZEV)にすると発表した。トヨタは50年に全世界でのカーボンニュートラルを掲げており、環境規制が厳しくEV市場が立ち上がり始めている欧州でまず、EVを中心にすえた戦略に転換する。

欧州トヨタのマット・ハリソン社長は声明で「30年以降ZEVの需要は加速し、トヨタは西欧で35年までに全ての新車でCO2排出ゼロを達成できるようにする」と述べた。対象となる市場は欧州連合(EU)加盟国と英国、ノルウェーなどでロシアなどは含まない。EVや燃料電池車(FCV)などのZEVが新車販売に占める比率を25年に10%、30年に50%と高め、35年に100%にする。それまでに充電設備と水素充填設備が十分に整備されていることを前提条件としている。

トヨタのロシアなども含む欧州の販売台数は21年に過去最高の約107万台になる見通し。22年には130万台に増やす計画で、トヨタの世界全体の約1割がすべてZEVに置き換わることになる。

欧州専用の車台も開発

開発中の水素エンジン車を投入する可能性もあるが、中心はEVだ。EV専用の車台を使った多目的スポーツ車(SUV)の新型EV「bZ4X」を22年半ばに発売するのを皮切りに、欧州の消費者の嗜好に合わせたbZ4Xより小型のEVも続けて投入する。高級車ブランド「レクサス」からもbZ4Xと同じ車台を使ったSUVのEV「RZ」を発売する。

EVとプラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリッド車を容易につくりわけられる設計の車台も欧州市場専用に開発している。この車台は「E3」と呼び、EVや充電インフラの普及の速度に応じて、開発や生産の柔軟性を高める狙いがある。

これまで早期のEV普及に懐疑的だったトヨタが欧州でEVシフトを加速する最大の理由は脱炭素に向け強まる規制だ。EUの欧州委員会は7月、35年に域内の新車(乗用車)が排出するCO2をゼロにすることを義務付ける規制案を発表した。案の通り決まるかは見通せないが、トヨタは先んじる格好だ。欧州主要18カ国の新車販売に占めるEVの比率が21年7~9月に13%と前年同期の6%から急伸していることも背景にある。

「気候対策後ろ向き」のイメージ払拭も

「トヨタは気候変動対策に後ろ向き」というイメージを払拭する狙いもありそうだ。環境団体のグリーンピースは11月、世界の自動車大手10社の気候変動対策の評価で、トヨタが最下位だと発表した。環境問題に対する意識が高い消費者が多い欧州で、この評価は今後の販売に悪い影響をおよぼしかねない。

現時点でトヨタがEVの品ぞろえや販売台数で競合に劣るのは事実だ。米テスラが年間販売100万台のペースに迫り、独フォルクスワーゲン(VW)はグループ全体で15車種以上を発売済みだ。独メルセデス・ベンツやボルボ・カー(スウェーデン)など高級車勢は30年のEV専業化を発表した。大衆車でも米フォード・モーターが欧州の乗用車で30年のEV専業化を目指すほか、VWグループの中核のVWブランドや仏ルノーは30年にそれぞれ欧州の新車販売の7割、9割をEVとする計画だ。

ハイブリッド車「プリウス」で電動車の時代の扉を開けたトヨタがEVを中心としたZEVの競争でも再び先頭に立てるか、まず欧州が試金石となる。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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