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英中銀が追加利上げ、年0.5%に 量的引き締めも着手へ

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【ロンドン=篠崎健太】英イングランド銀行(中央銀行)は3日、政策金利を0.25%引き上げて年0.5%にすると発表した。2021年12月の前回から2会合続けて利上げした。買い入れた債券の再投資を止めて残高を減らす量的引き締め(QT)にも着手することを決めた。コロナ後に量的引き締めに踏み切るのは主要国で初めて。英国では消費者物価指数(CPI)の上昇率が約30年ぶりの水準になり、インフレの抑え込みへ金融引き締めが必要だと判断した。

2日まで開いた金融政策委員会では、利上げの幅で意見が割れる異例の展開になった。ベイリー総裁は0.25%の利上げを提案し、投票権を持つ9人のうち5人が賛成した。残る4人は労働需給の引き締まりによるインフレ加速の恐れを挙げ、より大きい0.5%の利上げを主張した。

量的緩和策で購入してきた債券の残高縮小を始めることも全会一致で決めた。国債と社債を合わせた残高は21年末に、上限の8950億ポンド(約139兆円)に到達した。満期を迎えた債券の再投資をやめて残高の自然減に着手し、国債は3月の償還分(279億ポンド)から停止する。今後、政策金利が1%に達した段階で積極的な市場売却も検討する。

引き締め路線へ一段と傾斜した背景には、インフレの加速や長期化への懸念が増したことがある。エネルギー価格の高騰や人手不足などの供給制約で、英CPI上昇率は21年12月に5.4%と、1992年3月以来の伸び率を記録した。英エネルギー規制当局は3日、消費者向けの電気・ガスの標準単価上限を4月から54%引き上げると表明した。当面はさらなる物価高が避けられない。

声明では「労働需給の引き締まりや国内の値上がり圧力がさらに長引く兆候があり、利上げは正当化される」と説明した。物価上昇で賃金が実質ベースで目減りし、個人消費を圧迫する懸念を強調した。経済が予測に沿って推移すれば「今後数カ月のうちに金融政策はさらに幾分緩やかに引き締めるのが適切な可能性が高い」との見通しを示した。

物価上昇はイングランド銀行の想定を上回るペースで進んできた。前回の12月時点ではCPI上昇率の当面のピークを22年4月に「6%程度」とみていた。天然ガスや原油価格の上昇などを踏まえ、わずか1カ月半で「7.25%」へ引き上げた。最新の金融政策報告書は22年10~12月期のCPI上昇率の見通しを5.75%とし、21年11月時点の予測3.5%から大幅に引き上げた。23年いっぱいはインフレ目標2%を上回る状況が続くとみている。

利上げは世の中のインフレ予想を抑える効果が見込まれる半面、経済活動にブレーキをかける。声明はエネルギー高騰など最近の物価高要因について「金融政策で防ぐことはできないものだ」と記した。需要よりも供給面に起因するインフレが止まらないなか、金融政策運営の悩みは深まっている。

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