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独中道右派、1月に党首交代 総選挙敗北で難路の再建

【ベルリン=石川潤】メルケル首相が所属するドイツの中道右派、キリスト教民主同盟(CDU)は2日、2022年1月に党大会を開き、新党首を選出すると発表した。9月の総選挙敗北で野党転落が避けがたい情勢となり、ラシェット党首は引責を余儀なくされた。世界的にポピュリズムが台頭する中、伝統的な保守政党の再建は難易度が増している。

「新たな出発のためのよい方法だ」。ラシェット氏は2日の記者会見で、同党として初めて、新党首を選ぶために党員投票を実施することを明らかにした。従来は代議員の投票で決めていた。党員投票の結果は12月半ばに公表。決選投票となった場合、最終結果の判明は1月半ばとなる。1月21~22日の党大会で正式に選出する。

CDUは9月26日の連邦議会選挙(総選挙)で約24%という過去最低の得票率になり、16年ぶりに第1党の座を失った。僅差で勝利したドイツ社会民主党(SPD、社民党)が第3党の緑の党、第4党の自由民主党との連立協議に入り、12月上旬の新政権発足を目指している。CDUは野党転落が濃厚で、党指導部の刷新が求められていた。

総選挙でCDUが敗れたのは、ラシェット氏が7月、洪水被災地で大笑いする姿をカメラに捉えられたことが原因だ。さらに、党の支持率が急落する危機的な局面で、党幹部が権力争いを続けていたことが有権者の失望を誘った。新党首にカリスマ性や党内をまとめ上げる力量がなければ、同じ轍(てつ)を踏みかねない。

次期党首候補の顔ぶれにはやや不安が残る。有力とされるのが保守派のベテランで元院内総務のメルツ氏、外交に詳しい元環境相のレトゲン氏だが、いずれも21年1月の前回の党首選挙でラシェット氏に敗れた候補だ。保健相のシュパーン氏、院内総務のブリンクハウス氏、保守派の若手リネマン氏も候補だが、支持は広がりを欠く。

次期政権の発足を待って引退するメルケル氏は、脱原発や最低賃金導入などを決断してCDUをより中道寄りの政党に変えてきた。次期党首選では、メルケル路線を離れて保守回帰に動くかが争点になる。

ドイツに限らず、多くの国で極右やポピュリズムが台頭し、伝統的な保守政党は支持基盤の切り崩しにあっている。対抗するためにより保守的な政策に傾斜する国が目立つなか、CDUは中道に近い立ち位置にとどまる稀有(けう)な存在だった。CDUが今後どの道に進むかは、今後の保守のあり方にも一石を投じそうだ。

新党首にはさっそく試練が待ち受けている。ドイツでは22年、3月の南西部ザールラントを皮切りに4つの州議会選挙がある。特に5月、ドイツで人口が最大の西部ノルトライン・ウェストファーレン州の州議会選挙は注目度が高い。党の退潮に歯止めがかからなければ、4年後の次の総選挙を待たずに退任に追い込まれかねない。

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