OPECプラス、4月も増産ペース維持 原油8年半ぶり高値
【カイロ=久門武史】石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は2日、現行の原油増産ペースを4月も続けると決めた。ロシアのウクライナ侵攻でニューヨーク市場の原油先物が約8年半ぶり高値をつけるなか、追加増産を見送った。
OPECプラスは同日オンラインで開いた閣僚協議で、毎月日量40万バレルずつ増産する既定路線を再確認した。次回は3月31日に協議する。
閣僚協議に先立ち、2日のニューヨーク市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は一時1バレル111ドルを上回り、2013年8月以来の高値をつけた。国際エネルギー機関(IEA)は1日、加盟国が石油備蓄を計6000万バレル協調放出すると決めたが、相場の上昇基調は続き備蓄放出の効果は限られている。
米欧がロシアの一部銀行を国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除すると決め、ロシアの原油輸出が滞るとの警戒感が強まっている。当事国のロシアはOPECプラスの主要メンバーだ。追加増産で原油価格を抑え、敵対する米欧を利する理由はない。
OPECプラスの他の産油国も、生産計画とウクライナ情勢を結びつけない姿勢をとっている。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などはいずれも親米国だが、ロシアとは原油の協調減産や投資で協力関係を築いてきた経緯がある。
ナイジェリアなど一部のOPEC加盟国で投資不足や生産設備の問題から生産が低迷し、現行の増産でさえ計画に届いていない事情もある。さらにイラン核合意の再建交渉にも目配りせざるをえない。協議が妥結すれば、主要産油国イランへの米国の制裁が解け、イラン産原油が市場に流入し需給が緩む可能性がある。

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