WHO、コロナ予防に「ヒドロキシクロロキン」推奨せず
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【パリ=白石透冴】世界保健機関(WHO)は2日、抗マラリア薬の「ヒドロキシクロロキン」を新型コロナウイルスの予防薬として使わないよう「強く勧める」と発表した。6000人以上を対象とした6つの無作為の研究で、死亡や入院を防ぐ効果がない可能性が高いとわかったと説明した。
ヒドロキシクロロキンはトランプ前米大統領が服用していると話した薬剤で、有効だと指摘する科学者もいた。WHOは感染そのものを防げる効果についても、効果が無いという「中程度の確実性の証拠」があると指摘した。「おそらく副作用の危険も高まる」とも付け加えた。
新型コロナ予防薬としてのヒドロキシクロロキンの調査は優先度が低く、ほかの薬剤の研究を進めるべきだと訴えた。
ヒドロキシクロロキンについてWHOは2020年10月にも、新型コロナ感染者の死亡率の引き下げに「ほとんどあるいは全く」効果がないと発表していた。今回はさらに強い表現で否定的な見解を示した。
一方、WHOのテドロス事務局長は1日の記者会見で、過去6週間減り続けた世界の新規感染者数が再び、増加に転じたと明らかにした。新型コロナ対策の緩み、変異ウイルスの広がり、気の緩みなどが原因だとみられるという。「ワクチンだけに頼るのは間違っている」と述べ、マスクの着用など基本的な対策も続けるよう呼びかけた。