EUが米エネ安保・気候対策に対抗案 補助ルール緩和
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【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は1日、米政府によるエネルギー・気候変動分野への巨額支援の対抗策となる「グリーンディール産業計画」を発表した。原則禁止されている加盟国による補助ルールを緩和して多くの分野に補助金を出せるようにしたり、電池やヒートポンプなどの生産に関する規制を簡素にしたりするのが柱だ。
EUは9〜10日の首脳会議で同計画を討議する。その結果を踏まえ、欧州委がより詳細な制度案を3月にもまとめる予定だ。
米国は歳出・歳入法(インフレ抑制法)に3690億ドルのエネルギー安全保障と気候変動対策を盛り込んだが、電気自動車(EV)の優遇策を北米で組み立てた車に限定するなどしたため、EUは懸念を伝えた。フォンデアライエン氏は日本やインド、カナダ、英国でも政府による投資や支援を強める傾向があることに触れ、「明確にしておきたい。我々はこの動きを歓迎している」と、地球が温暖化ガスの排出減に向かっていることを前向きに評価した。
一方で、補助金などの政府支援が手厚い国に企業が移転するリスクがある。フォンデアライエン氏は「公平な競争環境は重要だ」として、EUでも加盟国が重要産業に手厚い支援をできるようにする。
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