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ボルボ、30年までにすべてEVに HVなど販売終了

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今秋に量産を始めるボルボ・カー2車種目のEV「C40」。満充電での航続距離は約420㌔㍍だ=ロイター

【フランクフルト=深尾幸生】自動車メーカーが電気自動車(EV)に全面移行する時期が早まっている。高級車大手のボルボ・カー(スウェーデン)は2日、2030年までに新車販売のすべてをEVにすると発表した。今年に入り欧米の大手メーカーも相次ぎ全面移行を打ち出した。雇用面などの課題を抱えながらも、ガソリン車やハイブリッド車(HV)からのシフトが加速する。

ボルボは30年以降、ガソリン車やHVを販売しない。しかも、EVはすべてオンラインだけで販売する。これまでも25年に世界の新車販売の5割をEVにすると表明するなど電動車に前向きだったが、一気に加速する。

ホーカン・サミュエルソン社長は日本経済新聞とのインタビューで「EVのコストはガソリン車やHVより安くなる。市場が縮小している領域にとどまろうとすると成長できない。成長し利益を上げるための最適な戦略だ」と述べた。

こうした動きはボルボだけではない。英ジャガー・ランドローバー(JLR)が2月15日に、25年からジャガーをEV専業ブランドに刷新すると発表したばかり。米フォード・モーターもその2日後に欧州市場での乗用車販売を30年にすべてEVにすると続いた。脱ガソリン車・脱HVはこれまでも独フォルクスワーゲン(VW)が50年、独ダイムラーが39年を目標に掲げていたが、ここに来て一気に前倒しが進んでいる。

前倒しの背景にあるのは世界各国・地域の規制だ。国際クリーン交通委員会(ICCT)によると、20年11月の時点で英国や米カリフォルニア州など世界の新車販売の13%に相当する国や地域がガソリン車やディーゼル車の販売終了時期を設定した。その後も日本などが加わった。多くはEVや燃料電池車(FCV)の「ゼロエミッション車」を義務付け、HVすら売れなくなる。

さらに欧州連合(EU)では25年と30年に新車の二酸化炭素(CO2)排出規制が強化される。乗用車の30年規制では21年比で37.5%減らす必要があるが、EUの欧州委員会はこれを50%減まで厳しくする案を検討している。50%減が適用されれば新車販売の6割をEVにしなければ達成できないとされる。

ただ、欧米大手の中でも姿勢は分かれる。米ゼネラル・モーターズ(GM)が1月に35年までにガソリン車とHVの生産と販売を全廃し、EVなどCO2を排出しない車に切り替える目標を発表した一方、ダイムラーはEVの普及には地域差が大きいとして、19年に発表した39年のカーボンニュートラルの計画は変える必要がないとした。

全面EV化は雇用の痛みも伴う。ボルボはEVに集中するため、年内にガソリン車やHVのエンジンなどの動力機構の開発・生産を切り離す。約3000人が親会社の浙江吉利控股集団の香港上場子会社・吉利汽車と統合する新会社に移る予定だ。全面EV化を機に販売をすべてオンラインに切り替えるため、販売店で人員の余剰が生じる可能性もある。

充電インフラの整備なども課題だ。EVは自宅で充電できる利点はあるものの、集合住宅や長距離の外出には充電施設が欠かせない。ドイツ政府は23年までに1千カ所の急速充電施設を整備する法案を閣議決定し、英政府は充電インフラ設置補助の対象を拡大した。

EVは排ガスこそ出さないが、原材料の製造過程などで大量のCO2を排出するといったマイナス面もある。こうした複数の問題も考慮しつつ、EVへの移行をどう進めるか。日本勢も含めた自動車産業に突きつけられる大きな課題となる。

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