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米・トルコ、戦闘機売却巡り溝 首脳会談でも進展乏しく

【イスタンブール=木寺もも子】米国とトルコが戦闘機の売却を巡り、溝を埋められずにいる。10月31日の首脳会談では協議の継続を確認するのみで、具体的な進展はみられなかった。一時は大使の追放危機まで浮上した北大西洋条約機構(NATO)同盟国同士の不和は解決の糸口が見えない。

「バイデン大統領は前向きだった」。トルコのエルドアン大統領は20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に際してバイデン氏と会談し、その後に開いた記者会見で、トルコが米国に売却を求めている戦闘機F16についてこう語った。

もっとも、両国の声明などによると、合意事項は貿易量の増加に向けた協議の枠組み設置にとどまった。米高官は記者団に対し「(バイデン氏は)トルコの要求を理解している」などと述べるにとどめ、微妙な温度差ものぞかせた。

米トルコ関係が専門のイルハン・ウズゲル元アンカラ大教授は「両者は互いに主張を伝え、継続協議としただけでF16を巡る実質的な進展はなかった」とみる。

トルコは兵員規模でNATO2位を占め、米国や欧州にとっては中東や旧ソ連圏に接する戦略的に重要な同盟国だ。その同盟国への武器売却が円滑に進まないのは、両国間に近年生じた深刻な相互不信のためだ。

トルコが2019年にNATOの仮想敵国であるロシアから地対空ミサイル「S400」を導入すると、米国は最新鋭戦闘機F35の共同開発計画からトルコを締め出した。トルコは今年10月までに、F35の代わりとして新型のF16戦闘機40機や、既に保有する約80機を改修するための部品を求めた。

ホワイトハウスの声明によると、バイデン氏は会談でS400への懸念のほか、人権や民主主義、法の支配の重要性を訴えたという。米国ではエルドアン政権の強権ぶりに対する懸念が強い。仮にバイデン政権が戦闘機売却を認めても、米議会が承認する見通しは立たない。

トルコ側はいらだちを強める。チャブシオール外相は10月28日の地元テレビで、米国が売却に応じなければロシアからの導入を検討する考えを示した。ロシア製への切り替えは軍制全体に影響するため現実的でないが、米側を揺さぶる狙いが透ける。

トルコがテロ組織とみなしているクルド系武装組織を、米国が過激派組織「イスラム国」(IS)掃討のため支援している問題でも強い不満を抱えている。エルドアン氏は9月下旬、米トルコ関係が「健全ではない」と不満をあらわにした。

10月には、トルコに対して人権活動家の釈放を要求した米欧など10人の駐トルコ大使を追放すると宣言した。双方が譲歩し、同盟関係を根本から揺るがしかねない追放劇は回避されたが、溝の深さは改めて浮き彫りになった。

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