/

米の黒人経営者70人超、ジョージア州の投票制限法に抗議

米製薬大手メルクのケネス・フレージャーCEOらは黒人の投票権制限に対抗し、企業が声を上げるべきだと呼びかけた=ロイター

【ニューヨーク=白岩ひおな】米南部ジョージア州で成立した有権者の投票権を制限する法律をめぐり、黒人の企業経営者72人が31日、同様の法案への反対と企業の行動を呼びかける公開書簡に署名した。共和党の主導で少なくとも43の州で同様の法案が検討されており、黒人などマイノリティー(少数派)の投票を妨げるとして反発が広がっている。

ジョージア州の法律は不在者投票での身分証明を厳しくして期日前投票の期間を短縮し、選挙運営に関する州議会の権限を強める内容だ。

書簡は米製薬大手メルクのケネス・フレージャー最高経営責任者(CEO)とアメリカン・エキスプレスのケネス・シュノールト前CEOが中心となり発表した。フレージャー氏は「今企業が立ち上がらなければ、不正投票を主張して合法的な有権者の投票権を制限する法律が米国内に広がってしまう」と警告した。

シュノールト氏は「米国の企業は、あらゆる差別的な法律や米国民の投票能力を制限するすべての方策に公に毅然とした態度で反対すべきだ」と語った。ゼロックスのウルスラ・バーンズ元CEOやシティグループの会長を務めたリチャード・パーソンズ氏らも名を連ねた。

ジョージア州の法律は州議会で多数派を占める共和党が主導して可決し、共和党のケンプ知事が署名して25日に成立した。①郵便投票用紙の請求に身分証の提示が必要②期日前投票の投票箱数を制限し、すべての決選投票で期日前投票の期間を短縮③投票に問題があると報告されれば、投開票作業への州議会の指揮・監督権を拡大――などの項目を盛り込んだ。投票所で順番待ちをする有権者への水や食料の提供も禁じる。

署名時には州知事室の扉をたたいた民主党のパーク・キャノン下院議員が法執行と会議の妨害容疑で逮捕され、その後釈放された。キャノン氏は「投票権のために戦う者が二度と逮捕されなくなって初めて息ができるようになる」とコメントした。公民権団体は30日、同法が「特に有色人種などの投票権を制限している」とする訴訟を起こした。

ジョージア州では民主党のパーク・キャノン下院議員が州法への署名の際に知事室の扉をたたいたとして逮捕された(議員のツイッターから)

同州では2020年11月の大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が敗れた。共和党候補の敗北は1992年以来だ。民主党のバイデン大統領の勝利はアフリカ系有権者の投票が後押ししたとされる。元同州下院議員だった黒人女性のステイシー・エイブラムス氏らが市民への有権者登録と実際の投票を強く働きかけたことも注目された。

民主党は、同党の支持基盤である少数派の有権者を標的にした選挙制度の変更で共和党が次期選挙で優位に立とうとしていると批判している。バイデン大統領は26日、かつて南北戦争後の南部諸州で黒人差別と人種隔離を制度化した「ジム・クロウ法」を想起させるとして「合衆国憲法へのあからさまな攻撃だ」と非難した。

ジョージア州アトランタに拠点を置く企業からも抗議の声が上がっている。デルタ航空のエド・バスティアンCEOは31日の従業員に宛てたメモで「最終的な法案は受け入れがたいもので、デルタ航空の価値観に合わない」と非難した。

黒人コミュニティーのリーダーや従業員らと話し合った結果「多くの恵まれない有権者、特に黒人有権者が代表者を選出する憲法上の権利行使を困難にする条項が含まれている」との判断に至ったという。コカ・コーラのジェームズ・クインシーCEOも「間違っており、改善する必要がある」と述べた。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

日経電子版の「アメリカ大統領選挙2020」はアメリカ大統領選挙のニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。

関連企業・業界

企業:
業界:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン