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「北朝鮮、弾道ミサイルに核兵器搭載可能に」国連報告書

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北朝鮮が25日に発射した短距離弾道ミサイル=朝鮮中央通信・ロイター

【ニューヨーク=白岩ひおな、吉田圭織】国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは31日、対北朝鮮制裁の履行状況に関する最終報告書を正式に発表した。北朝鮮は「大陸間弾道ミサイル(ICBM)に核兵器を搭載できる可能性が非常に高く、中距離および短距離弾道ミサイルにも核兵器を搭載できる可能性がある」と指摘した。北朝鮮が2019~20年に暗号資産(仮想通貨)交換事業者などへのサイバー攻撃を通じ、計3億1640万ドル(約350億円)の仮想通貨を違法に奪ったとも明らかにした。

北朝鮮は制裁逃れやサイバー攻撃で得た資金を使い、高濃縮ウランの生産を含む核・ミサイル開発計画を継続している。報告書では、軽水炉施設の建設や各施設の修理などを実施し、南部平山(ピョンサン)ウラン鉱山の施設の近代化や新たな建設に取り組んでいることが確認された。年に7キログラムのプルトニウムの生産を可能とし、既に60キログラムを保有している可能性が高いという。

北朝鮮が20年にイランと長距離ミサイル開発で協力していたことも判明した。イランの研究センターがロケットの打ち上げで北朝鮮のミサイル専門家から支援を得ており、北朝鮮はバルブや電子機器、地上でのミサイル実験のための測定装置などをイランに輸出していたという。

米国の国連代表部はツイッターで「専門家パネルの報告書は北朝鮮が進める核・ミサイル開発について憂慮すべき情報を明らかにした。国際社会は制裁を厳しく履行する必要がある」と訴えた。制裁委の議長国を務めるノルウェーの国連代表部もツイッターに「北朝鮮が大量破壊兵器とミサイルの開発を継続していることに懸念を表明する」と投稿した。

北朝鮮は25日、改良型とみられる短距離弾道ミサイル2発を発射した。米国をはじめとする国連安保理の複数の理事国は「明確な決議違反」として非難し、30日には非公開の緊急会合を開いたが、安保理として声明を出すには至っていない。専門家パネルは今回の弾道ミサイル発射をめぐる調査を進めている。

報告書は具体的な資金獲得の手法も詳述している。北朝鮮は盗んだ仮想通貨を他の仮想通貨に替えることで追跡を困難にする「チェーンホッピング」という手法を使っている。19年から調査していた金融機関や仮想通貨交換事業者への複数のサイバー攻撃をめぐり、北朝鮮の偵察総局傘下のハッカー集団「ビーグルボーイズ」が関係していたと結論づけた。

イスラエルなど数十の防衛企業や関連組織にもサイバー攻撃をしかけていた。ビジネス向けSNS(交流サイト)で著名な防衛・航空宇宙企業の人事担当者になりすまし、関連企業の従業員に接近したという。電話による会話やテキストメッセージで信頼を獲得した上で、マルウエア(悪意のあるソフト)を添付した電子メールをターゲットに送る手口を使った。

海上で積み荷を移し替える「瀬取り」の横行も確認された。少なくとも 410万トンの石炭及びその他の禁止鉱物を中国に輸出した。安保理の制裁決議は北朝鮮による石炭の輸出を禁じている。安保理が定める制限を大幅に超える量の石油精製品を密輸入する制裁違反は20年1~9月に17年12月の安保理決議が定めた年間供給上限の50万バレルの数倍に達した。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で国境が封鎖されるなか、北朝鮮が外貨取得目的で海外に派遣した出稼ぎ労働者は送還の期限を過ぎても国外で働き続けている実態も浮かび上がった。観光客や学生ビザで入国し、建設やITなどの分野で活動を継続している。

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