気候変動対策「中ロに失望」 バイデン氏
【ローマ=坂口幸裕】バイデン米大統領は31日、訪問先のローマで記者会見を開いた。中国とロシアの気候変動対策が不十分だとして「失望した」と述べた。短期的には原油やガス価格の上昇に対処するためサウジアラビアとロシアに増産を促した。
バイデン氏は20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の閉幕後に開いた記者会見で、G20が海外の石炭火力発電への公的な金融支援の停止で合意したことについて「大きな進展だ」と評価した。
「気候変動に対処する責任という観点から中国とロシアは目立たなかった」とも指摘し、不満をにじませた。11月1~2日に参加する第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を念頭に「中国やロシア、サウジが取り組んでいない事項に引き続き焦点を当てる必要がある」と語った。
足元のエネルギー価格の高騰には懸念を示した。「サウジやロシアが原油を増産しないという考え方は適切ではない」とした。バイデン氏はG20サミットでも産油国に増産を求めていた。
記者会見では気候変動対策と化石燃料の増産を両方とも主張するのは政策の一貫性を欠くのではないかとの質問が相次いだ。バイデン氏は「一晩で再生可能エネルギーに移行できるという考え方は合理的ではない」と応じた。「ガソリン価格が1ガロン3ドルを超えると通勤だけでも家計に大きな影響が出る」と強調した。
バイデン氏は支持率低下に悩んでおり、短期的には政権批判につながりかねないガソリン高の是正に取り組まざるを得ない苦しさがにじんだ。
中東情勢をめぐってはイランに強気の姿勢を見せた。米メディアによると、シリア駐留米軍の拠点に対して無人機攻撃が最近起き、イランが関与した疑いが強まっている。バイデン氏は「我々は対処していく」と強調し、対抗措置を講じる考えを表明した。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)

アメリカの「バイデン政権」に関する最新ニュースを紹介します。その他、日米関係や米中対立、安全保障問題なども詳しく伝えます。
関連企業・業界