Apple、取引先110社が再エネ100%を表明 村田製作所も

【シリコンバレー=白石武志】米アップルは31日、同社に納める製品の生産に使う電力をすべて再生可能エネルギーでまかなうと表明したサプライヤーが110社を超えたと発表した。同社の主な取引先の約半数に相当する。アップルは取引の条件として環境対策を重視しており、残るサプライヤーも対応を迫られる。
日本企業では村田製作所とツジデンの2社が、米企業では電子部品メーカーのマリアンなどが新たにアップル向け製品の生産で消費する電力を全面的に再生可能エネルギーに切り替えると約束した。
すでに日本電産やソニーセミコンダクタソリューションズ、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業や台湾積体電路製造(TSMC)などがアップルに対し同様の取り組みを約束している。アップルの呼びかけに応じた取引先の数は2020年7月の約70社から8カ月間で1.6倍に増えた。
アップルは30年までに自社の全製品について、生産と利用を通じて排出する二酸化炭素を実質ゼロに抑える方針を20年7月に表明した。同社製品の生産を担うサプライヤーには今後、再生可能エネルギーへの移行をより強く求めるとみられ、対応できない企業はアップルと取引ができなくなる恐れもある。
再生可能エネルギーの利用経験が乏しい企業には、調達ノウハウなどを提供しているという。中国ではサプライヤーとともに3億ドル(約330億円)規模の基金を設立し、湖南省などで風力発電や太陽光発電プロジェクトにも投資している。
アップルは31日、再生可能エネルギーの安定供給のため、カリフォルニア州で米国最大級の蓄電施設を建設していることも明らかにした。同社の太陽光発電施設で日中に発電した電力をためるため、約7000世帯が1日に消費する電力に相当する240メガ(メガは100万)ワット時の蓄電容量を持たせる。

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