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米政権、裁判官もマイノリティー重視 「脱保守」へ始動

(更新)
バイデン米大統領が指名する判事候補11人のうち9人が女性だった=ロイター

【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は30日、裁判所判事に指名する11人を発表した。イスラム系やアジア系といったマイノリティーを重用し、女性が9人を占めた。リベラル色を前面に打ち出し、トランプ前政権が進めた裁判所の保守傾斜に歯止めをかける狙いだ。

バイデン氏は30日の声明で、11人について「米法曹界で最も優れた人たちだ」と評価した。「我が国を強くする生い立ちや経験、知見の多様性を体現している」と強調。ホワイトハウスも、人選のスピードについて「近代史でどんな大統領よりも早い」と誇った。バイデン政権が判事を指名するのは今回が初めて。米メディアによると、政権は第2弾の判事指名も近く行う。

バイデン政権が判事指名を急ぐのは、支持者の関心が高いからだ。訴訟社会の米国では裁判所は人工妊娠中絶やLGBT(性的少数者)の権利、医療保険制度や移民受け入れの是非など社会に大きな影響を与える問題で判断を下す。

CNNテレビが実施した2020年11月の大統領選の出口調査では、バイデン氏に票を投じた有権者の62%が連邦最高裁判所の判事指名を「重要な要素」と認識していた。バイデン氏の支持者は人工妊娠中絶の権利容認などリベラル派の判事を求めている。

トランプ前大統領は保守派判事を次々と指名した。米連邦司法センターによると、トランプ政権下で229人の判事が承認された。1期目としてはオバマ政権よりも3割多く、1977~1981年のカーター政権(260人)以来の高水準だった。トランプ氏が率いた共和党は上院の承認手続きで野党の意向に配慮する慣習を破り、保守派の承認を推進した。

バイデン氏の人選について「裁判所の保守色を薄める狙い」(米紙ニューヨーク・タイムズ)との見方が多く、民主党支持者が好むリベラル派の起用を重視した。

米政権によると、東部ニュージャージー州の連邦地方裁判事に指名したザヒード・クライシ氏が承認されれば、連邦裁で初めてのイスラム系の判事となる。黒人やアジア系の女性も起用し、人種の多様性を打ち出してリベラル色を一段と際立たせた。多様性重視はバイデン氏の閣僚指名とも重なる。

民主党支持者からは82歳のリベラル派であるスティーブン・ブライヤー最高裁判事に早期の勇退を求める声もあがる。バイデン政権下で民主党が上院の多数派を握っている間に退任すれば、後任をスムーズに承認できるからだ。判事の任期は終身制のため、若手を起用すれば数十年にわたってリベラル派の意見を判決に反映できる。

勇退論が出るのは、2020年9月に亡くなったリベラル派のルース・ギンズバーグ氏の教訓が背景にある。民主党のオバマ政権のころに高齢のギンズバーグ氏にも勇退論が広がったが同氏は職務を続けた。同氏の死去に伴い、トランプ政権は後任に「超保守派」と目されるエイミー・バレット氏を指名して上院が承認した。

バレット氏の承認に伴って、最高裁判事9人のうち保守派が6人となり、保守支配が確立した。バイデン政権は不法移民に寛容な政策や医療保険制度の拡充といったリベラル色が強い政策を目玉に位置づける。バイデン氏が地方裁や控訴裁でリベラル派を起用しても、目玉政策を保守色が強い最高裁が無効と判断するリスクがある。

米国の裁判制度 米国の連邦制度では一審の地方裁、二審の控訴裁、最終審の最高裁がある。判事は大統領が指名し、議会上院が承認する。共和党政権は保守派判事、民主党はリベラル派を指名する傾向がある。最高裁が取り上げる案件は数が限られるため控訴裁が事実上の最終審となることが多く、民主党と共和党は控訴裁判事を巡っても激しく対立する。判事承認の実績は政権のパフォーマンスを測る指標の一つにも位置づけられている。

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