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ブラジル大統領、重要閣僚・軍幹部が相次ぎ離脱で窮地

マスクを着用するボルソナロ大統領(29日、ブラジリア)=ブラジル大統領府提供

【サンパウロ=外山尚之】ブラジルのボルソナロ政権で閣僚や軍幹部の離反が相次いでいる。大統領は29日、外相や防衛相を含む6閣僚を交代させると発表したが、新型コロナウイルス対策の失敗で支持率が低迷している。同氏の支持基盤だった軍との対立も表面化、30日には陸軍・海軍・空軍の司令官が同時に退任した。2022年の大統領選に向け左派陣営の巻き返しも進んでおり、ボルソナロ氏は窮地に立たされている。

19年1月の大統領就任以来、頻繁に閣僚交代を繰り返してきたボルソナロ氏だが、今回の内閣改造は政権発足以来、最大の規模となる。コロナワクチンの確保に失敗したとして議会の圧力でアラウジョ外相が辞任せざるを得ない状況となり、「政府が脆弱な時期を迎えているという説を否定するため」(経済紙バロル・エコノミコ)という見方が一般的だ。

今回、国内に大きな衝撃をもたらしたのが、アゼベド防衛相の交代だ。元陸軍大将のアゼベド氏は軍出身のボルソナロ氏に請われる形で防衛相に就任。20年5月にボルソナロ氏が対立する裁判官や州知事らを批判する文脈で軍による司法などへの介入を示唆した際も、「軍は法と秩序、民主主義、そして自由の側にいる」と発表し、事態の鎮静化を図るなど、政権の重しとなっていた。

アゼベド氏は退任にあてて公開した声明で「任期中、私は軍を国家の組織として守った」として、軍の私物化をにおわせるボルソナロ氏をけん制した。3月に入りボルソナロ氏は新型コロナの感染再拡大で州政府が実施する経済制限に対して法的根拠なく軍の出動を求め、アゼベド氏と対立していたとされる。軍内部には過去の軍政を礼賛するボルソナロ氏の過激な思想に同調する兵士も多いが、アゼベド氏は軍としての規律の重要性を身をもって伝えた形だ。

軍上層部との間にすきま風が吹く中、ボルソナロ氏は追い詰められつつある。投資助言会社XPインベスチメントスが12日に発表した世論調査によると、同氏の不支持率は45%と、支持率の30%を大きく上回った。新型コロナの第2波が深刻化する中、批判が強まっており、岩盤支持層である保守派に迎合することで無党派層の支持が離れるという悪循環が始まっている。

ボルソナロ政権は新型コロナ対策として低所得者層向けの現金給付策の再開を決定している。現金給付とともに支持率が上昇した昨年の再現をもくろむが、狙い通りに進むかは不透明だ。

首都ブラジリアの連邦裁判所では任期中の汚職事件で有罪判決を受けたルラ元大統領の過去の裁判の再審理が予定されている。22年10月に予定されている大統領選までに有罪判決が確定しなければ、ルラ氏は立候補が可能となる。低所得者層からカリスマ的な人気を誇るルラ氏が大統領選に出馬すれば、ボルソナロ氏は厳しい戦いを強いられる。

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