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米ホテル苦境深まる 20年の空室、5割増の10億室

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ニューヨーク市内タイムズスクエアのマリオットは追加で人員削減すると報じられた=AP

【ニューヨーク=西邨紘子】新型コロナウイルスの感染拡大が続く米国で、ホテル業界の苦境が深刻だ。英調査会社STRによると、2020年の空室の累計(12月半ば時点)は延べ10億室を超え、19年通年を約5割上回った。国内で感染力がより強いとされる変異種が見つかったことで、21年以降の需要回復も不透明感が増す。長期化すれば雇用への打撃が強まる。

STRが稼働していながら宿泊客がなかった「売れなかった客室」を集計した。直近データの20年12月27~21年1月2日の客室稼働率は40.6%で、前年同期から2割減だった。年末の人の移動が一時的に客室需要を底入れしたが「ホリデーシーズン後の大幅な需要持続は見込めない」(STR)。

米ホテルの稼働率は各地で厳しいロックダウン(都市封鎖)が敷かれた20年の4月半ばに22%まで下がった。その後は経済再開に伴い需要が緩やかに回復してきたが、冬期の急速な感染拡大を受けて再び悪化した。11月には感謝祭シーズンに空港利用者が急増した一方、ホテルの稼働率(40.3%)は前月比8ポイント低下。より厳しい規制を敷く欧州(21.3%)は上回るものの、米国人のホテルばなれが鮮明だ。

ホテル各社は長引く需要低迷に直面し、コスト削減を進めている。STRによると、全人件費を販売可能なホテル客室数で割った「1部屋あたりの人件費」は11月に44.01ドルで、前年同月の84.98ドルからほぼ半減した。

米メディアは12月、ニューヨーク市内タイムズスクエアのマリオット旗艦ホテルが従業員800人の追加削減を決めたと報じた。ニューヨークやシカゴなど大都市の大型ホテルには、観光客減に加え主要な収入源となる国際会議などビジネス需要の激減が追い打ちをかける。

ホテルの経営不振やコスト削減は雇用情勢を悪化させる。米労働省の統計では、20年12月の非農業部門の雇用者数は前年同月比6%減。その中でホテルを含むレジャー・ホスピタリティ業界の雇用者数は2割減と落ち込みが目立つ。

業界団体の米ホテル・ロッジング協会(AHLA)が11月、会員約1200社を対象に進めた調査では、連邦政府からの債務減免など支援を得られない場合、77%が「雇用をさらに削減する」と回答。また、71%が今後、6カ月以内に「営業を続けられなくなる」と答えた。米政権・議会が12月末に9000億ドル(約93兆円)の新型コロナウイルス対策を通したことで多くのホテルが当面の命綱を得たが、AHLAは「さらに長期的な追加救援策が必要だ」としており、大量閉店への危機感を緩めていない。

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