多国間軍事演習「リムパック」開始 台湾は不参加
(更新)

【ワシントン=中村亮】米海軍主催の多国間海上訓練「環太平洋合同演習(リムパック)」が29日、ハワイ沖などで始まった。8月4日までの予定。日本やオーストラリア、英国など26カ国が参加し、米国は各国と連携して中国の脅威に対処する姿勢を打ち出す。台湾は参加しない。
米海軍によると、日米豪英やインド、フィリピン、タイ、トンガなど26カ国から38隻の艦船や170機以上の航空機が参加し、約2万5000人が訓練する。リムパックは2年に1度開く。2020年は新型コロナウイルスの影響で10カ国、5300人の参加にとどまった。
米議会は22会計年度(21年10月~22年9月)の国防権限法でバイデン政権に対し、台湾をリムパックに招待するよう促していた。だが、見送った可能性が高い。準備期間が短く参加は難しいとの見方が当初から多かった。米国は台湾が参加すれば中国との対立を懸念する東南アジア諸国などが参加を見送る公算も考慮したとみられる。
リムパックでは実戦を想定し、対潜水艦や防空、砲撃、ミサイル発射などの訓練を実施する。海軍は声明で「シーレーン(海上交通路)の安全や世界でつながる海の安全保障の確保に向けて重要な協調関係を育成し、維持するための独特な訓練の機会を提供する」と説明した。
米海軍協会によると、豪州はフリゲート艦「ワラムンガ」、日本は護衛艦「いずも」、カナダはフリゲート艦「バンクーバー」などをそれぞれ派遣する。